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帰るところをもうひとつ~第二の故郷のススメ~

 あなたには、第二の故郷はありますか?
 生まれ育った場所でなく、なにか縁があった場所。初めてとは思えない場所。「行きたい」ではなく、「帰りたい」と思えるところ。

 私は神戸で生まれ育ちましたが、学生の頃から静岡県出身の友人知人が何人かおりました。神戸で静岡県出身者に出会うことはまれなので、かなりの確率だと思います。

 彼らに出会った頃はまだ、静岡県に行ったことはなかったのですが、「山に行けばみかんがあるし、海に行けば魚がたくさん獲れるので、静岡県人はのんびりしている人が多く、大成した力士はいない。」とか「静岡県人はおっとりしているので、甲州商人にだまされて、山を取られたりする。」などいろいろと聞かされ、のんびりした静岡県の風土と人を身近に感じていました(あくまで個人の意見です。山梨県人の皆様、どうかお気を悪くされませんように。)

 その後、静岡県と深い縁をつなぐことはなかったのですが、仕事を始めて15年ほど経ったころ、まさか浜松で働き、住むことになろうとは。そして、第二の故郷と思えるほど、忘れがたい場所になろうとは。

 浜松での仕事については、ぜひこちらの記事をご一読下さい。

 私が浜松を第二の故郷と思うようになったのは、これまでで最もいい仕事ができた土地だということ、休日に静岡県内を縦横無尽に駆け回り、その素晴らしさを満喫できたということも確かです。そして友人知人から聞いていた、静岡県人のおおらかさに触れられたこともとても大きなことでした。雄大な自然を反映するような、人々のおおらかさ。・・・伊豆と浜松じゃ、まったく気質が違うよと静岡県人は言いますが。

 だから、心がちょっと弱ってしまったとき、無性に静岡県に行きたくなるのです。太陽に照らされてきらきら光る浜名湖や、孤高の美しさを放つ富士山が、たまらなく懐かしくなるのです。自分が最も輝いていたころを、思い出したいからかもしれません。そして実際に足を運べなくても、思い浮かべるだけで気持ちはすこし持ち上がる。そんな第二の故郷なのです。

 故郷は懐かしく慕わしいけれど、ちょっと辛いときもありませんか?愛憎こもごもとでも言うのでしょうか。帰りたいけれど、昔からの知り合いもたくさんいて、弱みを見せられなかったり、がんばる必要があったりする。でも第二の故郷には「憎」は湧かない気がするのです。

 故郷だけでなく、帰るところをもう一つ持っておく。 

 そんな簡単に第二の故郷なんて見つからないよ。故郷から出るのは難しいから、とおっしゃる方もおありでしょう。だからこそ、私はかねてから考えていることを提案したい。それは「姉妹県構想」です。

 姉妹都市は日本全国わんさとあって、それなりに交流は行われているようですが、都道府県単位で「姉妹県」を作るのはどうでしょう。北海道と沖縄県のように気候が大きく異なるペアや、東京都と島根県のように人口密度に差があるペア、福島県と山口県のようにかすかに遺恨が残るようなペアなどいかがでしょう?

 そして小中学校の修学旅行は「姉妹県」に行くのです。そうすれば全国津々浦々にお金が落ちて、観光業にとってもおいしいでしょ?どの県とどの県を「姉妹県」とするかは、修学旅行が絡むので文科省にでも決めてもらいましょう。

 修学旅行で2度行けば、「姉妹県」に対する親しみも湧くはずです。農作業や伝統工芸品を作る経験などができれば、風土を知るいい機会になります。狭いようで広い日本。いろいろな地域に様々な暮らしがあることを、幼い頃から身をもって知っておくことは、大切なことだと思うのです。

 自治体としても積極的に「姉妹県」と交流を持ち、「姉妹県」に宿泊すると割引があるとか、いろんなプランが考えられます。大人にとっても「姉妹県」とのつながりを密にしておくのです。

 そして、災害の多い日本です。ある県が大災害に見舞われた場合は、「姉妹県」が積極的に支援する。住むところを失ったら、「姉妹県」への疎開もありです。「姉妹県」は未知の土地ではないのです。第二の故郷です。なにかあった時の逃げ場と考えればいい。

 帰るところがもうひとつある。それは気持ちのゆとりを生むはずです。

 文科省の偉い方、いかがですか?「姉妹県構想」。
 決してお金がかかる話ではないですよ。

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