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笑う邸宅~神戸・須磨 旧西尾邸~
旧西尾邸とは
神戸市須磨区の高台にある、旧西尾邸を訪れました。1919(大正8)年に西尾類蔵が、外国人客の接待用迎賓館および自邸として建設した邸宅。緑豊かな約1万㎡の広大に、洋館や茶室、日本庭園を擁し、兵庫県指定有形文化財です。現在は結婚式場やレストランとして利用されています。
西尾類蔵はアメリカに留学した後、貿易や不動産業で財を成した商人で、自邸で外国人やセレブリティをもてなす機会も多かったのでしょう。設計は初代通天閣を手がけた設楽貞雄。戦後のGHQの接収や阪神淡路大震災を経て、よくぞここまできれいに残っていてくれたと嬉しくなりました。
私的「近代建築萌えポイント」
喜んでパシャパシャと撮影していたら、100枚にもなってしまいました。すべてご紹介すると、大変なことになってしまいますし、建築物としての写真はきっと、どなたかが上げて下さっていると思いますので、私は近代建築萌えポイントである「細部への異常なまでのこだわり」をご紹介したいと思います。
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正方形でもいいものを、このこだわり。
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階下のボイラー室で温められた風がでるんだって。画期的!
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美しく見える日は少ないとのこと。
ラッキー!
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こういうところにも凝るんですよね。
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歩くとコツコツいい音がします。
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カモメをモチーフに。
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しかも網代天井とは芸の細かいこと。
ちょっと見づらいですが、
照明の笠に波がデザインされています。
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隠れミッキーならぬお宝さがし
近代建築は人の温かみが感じられるので大好物なのですが、建物の細部まで手を抜かずにこだわっているところが、またいいんですよね。隠れミッキーじゃないけれど「メッセージを隠しておいたから、見つけてごらん。さーて、見つかるかな?フフフ。」と挑まれているようで。
ちなみに今回は、カモメ、波などのモチーフからして、テーマは「海」だと思いました。
細部にこだわるのは、昔の日本人が着物やスーツの裏地に凝ったのと、同じ感覚ではないでしょうか。ディティールにも決して手を抜かず、むしろそこにこだわりを持って、家を造ることこそが本当の贅沢、本当の家づくりなのではないかと思います。
近代建築保存のあらまほしき姿
そんな「細部への異常なまでのこだわり」のある近代建築だからこそ、安易に解体してほしくないんですよね。解体するならその前に、見学と撮影だけでもさせて下さい。そしてステンドグラスや建具を美術館などに寄贈するなり、ほしいと思う人に譲るなり、二次利用を考えませんか?
今回訪問した旧西尾邸は、日本人建築家が日本人施主のために設計した邸宅のため、洋風邸宅でありながらどこか和風で、茶室も意識されており、日本人の好む陰影が活かされた邸宅、という印象です。
結婚式場やレストランとして現役で使われているため、トイレなどはうまく改装され、きちんと手入れが行き届いています。おかげで邸宅も生き生きし、ニコニコ笑っているかのよう。家はやっぱり使ってナンボです。
邸宅内の写真を撮影したいと申し出ると、わざわざ案内の方が引率し、丁寧な説明をしてくださったこともうれしく、この邸宅が愛されていることを実感した次第です。
春近い暖かな日差しの下、近代建築保存のあらまほしき姿に触れ、心も頬も緩んだ一日でした。
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