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わたしの履歴書(8)知らないことを知ってみたい


会社情報

 業  種:大手クレジットカード会社(都市銀行系)
 職  種:コールセンターのオペレーター
 規  模:約100名
 在籍期間:2年7か月(派遣社員) 

これまでの経緯

 新卒でシステム開発会社に入社したものの、業務が理解できず2年で退職。その後は美術・音楽・建築といった芸術系の仕事に携わりましたが、非正規の期間限定だったり、正社員で採用されても心身の調子を崩したり。
 なかなか落ち着くことができません。

ありがとう、雇用保険

 雇用保険受給期間も終了し、自宅生活者もさすがに焦りが出てきました。
 それにしても、私の仕事人生、雇用保険には何度お世話になったことか。すっかり元を取っていると思いますが、実にありがたいシステムです。
 雇用保険の受給を繰り返すうちに、説明会から受給までの流れはすっかり頭に入り、受給のプロになりました。受給説明ビデオのキャスターを杉田かおるが務めていたなんて、誰も知らないでしょ。

 さて私はどんな仕事をしたいのか。興味ある芸術系の仕事は、非正規だったり、任期が決まっていたり、お給料がよくなかったり。正社員になってみれば、激務で心身を壊したり。好きなことではごはんを食べていけないんだなと、あきらめの心境に陥っていました。
 訳あって、プライベートもやさぐれていた頃。もうどんな仕事でもいいや、そこそこの収入を得られれば、という気持ちになり、苦手意識のある金融業界に挑戦することになりました。

初めての金融業界

 配属されたのは、クレジットカードのリボルビング払い担当デスク。お金のことで電話をかけてくる人は、みな真剣で手ごわいもの。リボ払いは利息が高い上に、カード作成時にデフォルトで設定されていることもしばしばで、クレームは日常茶飯事です。

 電話の向こうで派手な夫婦喧嘩が始まったり(原因はお察しのことと存じます・・・。)、毎日コンビニで相当の買物をし、支払えなくなってしまった人の明細を見て、闇を感じずにはいられなかったり、有名作家が海外で派手にカードを使い、秘書がリボ払いに変更してほしいと泣きついてきたり、怪しい健康食品に手を出している人が多いことを知ったりと、人間ドラマを垣間見る毎日でした。

 初めの頃はクレームにビビってオロオロしていたものの、次第に客あしらいにも慣れ、正社員である新入社員の教育を任されることになりました。
 受電内容を横で聞き、筆談でアドバイスをしたり、トラブルになると替わって対応するといった役目です。派遣社員は相当数在籍していたのですが、教育に携わったのは私だけ。今から思えば、かなり目をかけてもらっていたのかもしれません。

 それまでの職場では後輩がおらず、指導経験はありませんでしたが、これは意外と性に合っているかもしれないと気付きました。誰かに教える、誰かを守るという立場になると、アドレナリンが出るんですよね。この性質は後の仕事で大いに発揮されることになります。

行政書士に挑戦

 さて、居心地が悪くもないのに、仕事に慣れてくると「これでいいのか?私の仕事人生。」と考えてしまうのが悪い癖。
 何がきっかけだったかは忘れてしまいましたが、法律に疎いため、勉強してみようと思ったのです。司法書士や弁護士はハードルが高そうだし、まずは法律全般を学んでみようと、行政書士の勉強を始めました。
 派遣社員という中途半端な立ち位置を脱するため、開業できたらいいなという淡い夢を抱きながら。

 どうも仕事よりも勉強の方が性に合っているのでしょう。知らないことを知りたいという思いが、相当強いようです。仕事帰りの予備校の講義では、眠気に襲われることもたびたびでしたが、新たな知識を得る楽しさに満ちていました。

 初めての行政書士試験はあえなく失敗。でもせっかくここまでがんばったのだから、必ず合格しなければ。そのためには勉強に集中しようと思い、退職することにしてしまいました。一つのことにしか集中できない性分が、また顔を出してしまいました。人の根本の性格って、変わらないものです。

 ありがたいことに、辞めるに当たっては相当な引き止めに遭いました。今から思えば、合格できるかどうかも分からず、開業してもやっていけるかどうか未知数な資格の取得に、よく賭けることができたものです。ただ、金融業界にはどっぷり浸かるほどの興味もなく、その時はそれがベストの選択だった、としか言えません。

素晴らしきかな、我が仕事人生

 こうして職歴を振り返っていると、自分の性質が実によく分かります。一つのことにしか取り組めない。持久力よりも瞬発力に長けている。慣れてくると新しいことがしたくなる。興味のあることはやってみたくなる。
 それらの性質は仕事人生を一筋縄にせず、複雑で面倒なものにしてしまったようです。もっともっとシンプルに生きることができたかもしれません。

 自分の仕事人生については敗者の感がぬぐえず、この「わたしの履歴書」は自戒の念も込めて書き始めたものです。でも過去に携わった仕事に思いを馳せ、忘れていた思いを拾い上げているうちに、我が仕事人生がとてつもなく豊かで贅沢で、楽しいものだったということに気が付きました。

 だってここまでバラエティに富んだ経験をした人って、なかなかいないでしょ?

 そしてこれがまだまだ続くんですよ。

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