中学受験シーズンに思う、小学生の英語学習と親としての考え方
中学受験を考えている家庭でも、英語教育に熱心な家庭ばかりではないと思います。
中学受験の勉強で忙しくなる前に、子どもに経験させておきたいことは山ほどあります。英語ばかりに時間とエネルギーをかける訳にはいきません。(Minnie家もそうでした)
しかしながら、巷には、「英語は早ければ早いほどいい」「子どものうちに英語耳・英語脳を」といった情報があふれています。小学生の英検受験者も増えています。
このような状況に、親としてどのように向き合えばよいでしょうか。
小学生(特に低学年)のうちに、英語を学ぶメリットは何か
小学校の英語授業以外に、家庭で英語教材を使ったり、英語教室に通ったりするなら、最低限やっておくべきことは何か
今回はこのような疑問を持ったとき、検討したいポイントを挙げたいと思います。
小学生の強みを生かした学習
小学生が英語に取り組むメリットは、やはり、小学生ならではの学び方ができることです。
これは、乳幼児のように、音をたくさん聞き流して吸収を待つ、という方法でもなく、中学生のように、単語を覚えて、文法知識を身に付けて、理解するアプローチとも違います。
小学生は、
まだ耳が敏感で、英語の音を聞こえた通りに受け入れて、マネするのが上手です。
分からない部分があっても、あまり気にならず、ぼんやりとした状態が受け入れられます。
それでいて、
幼児期に比べると集中力が備わってきて、何より、学校の授業のおかげで、文字を読むことが楽にできるようになっています。
英語らしい音を出すのは恥ずかしい、間違えるのは恥ずかしい、と恥ずかしがる気持ちが邪魔をすることも、まだ少ないです。
そんな特性を持つ小学生は、
音声を聞いて、マネをして声に出す(聞き取りと発音)
文字を見ながら、音と文字をひもづける(フォニックス)
映像を見ながら、意味を想像・類推する
このような練習が取り組みやすく、効果が高いことになります。
感覚的に、耳と目と口を使って実践しながら、きちんと英語をインプットする方法が身に付くのが小学生です。
この力は、先々の英語学習を支える拠りどころになります。
そうはいっても、これらのことは中学生になってから、中学生としてのやり方で取り組むことも十分可能です。
小学生の時期に取り組むかどうかは、家庭の方針次第です。
※ 本記事は、一般的な英語の取り組みについて書いています。さらに踏み込んだ取り組みをするのが「英語育児(おうち英語)」です。英語育児については、こちらの記事などをご参照ください。
英語の習い事はピアノやサッカーと同列に考える
サッカーが上手な子は、気づけばいつでも、ボールを蹴っています。
ピアノが上手な子は、毎日ピアノの前に座って練習しています。
英語も、ふだんからの「練習」が必要で、練習しなければ上達は見込めません。
なかなか上達しないとしたら、それは英語が「難しいもの」だからではありません。子どもに「才能がない」からでもありません。
子どもが上達するには、親がふだんから気にかけて、練習のサポート役を担うことが必要なのです。
英語の習い事をするなら、親としてそのような関わりができるか、サポートする気持ちがあるか、がポイントです。
教材・教室任せにしないことです。
これは、中学受験の塾通い(親のフォローが必須)で言われることと同じですね。
小学校の英語は「実技系」の教科と捉える
小学5年生から英語は「教科」という扱いになりますが、教科といえども、国語や算数をイメージしてはいけないと思います。
小学生の英語は、実技系の体育、音楽、図工に近いと捉えるべきです。
いまの小学校の英語授業は、音楽や体育と同じように、英語に「触れる」「体験する」という趣旨のものです。
学校とは、子どもが幅広くいろいろなことを経験できる場ではありますが、そこで過ごす時間は限られます。
学校の水泳授業で、全員上手に泳げるようになる訳ではないのと同じで、英語の授業で、英語が身に付くと期待してはいけないと思います。
また、「英語をやり過ぎると国語力に影響する」など、英語と国語の関係がよく取り上げられます。
英語を実技系教科として考えると、小学校の英語と国語では、扱う内容の次元が異なることが分かると思います。
サッカーにたとえるなら、「国語」はボールを使った練習メニュー、「英語」はボールに触る以前の、走ったり飛んだりの基礎メニューのようなものです。
ピアノにたとえるなら、小学生の「国語」はバイエル(古い?)、ブルグミューラー、ソナチネ、「英語」はピアノに触る以前の、リトミックのようなものです。
このような違いがあるので、英語を学んでも、国語力に影響することはありません。
しかし、このような低い次元の内容でも、小学生の時期に英語に触れておく意義はあります。
なぜなら、英語の力は、ベースさえあれば、後々、母語である日本語の力がテコとなって伸びていくからです。
小学生の目標設定は英語が「好き」ではなく、易しい内容が「分かる」
当たり前のことですが、敢えてポイントとして挙げます。
小学生の英語では、「好きになる」「嫌いにならない」ことが一番の目的になっているかのようなケースが見受けられます。
英語に好きも嫌いもありません。
子どもが英語を好きになる必要はありません。
この時期に大切なことは、「英語が分かる」「分かりそうな気がする」という「自信」を育てることです。
この気持ちさえあれば、「もっと聞いてみよう、もっと読んでみよう」と、自分から英語に触れるようになります。触れれば触れるほど、力は伸びます。
英語を通して見える世界に、知的好奇心がくすぐられるからこそ楽しいのです。
英語を「好き」にさせようと、歌やゲームばかりで楽しさを演出しようとするのは、小学生に失礼です。
乳幼児は別ですが、小学生向けにそのような内容を提供する教材や教室に価値はありません。
小学生の実力を侮るなかれ、です。
中学校以降の英語のベースを作る
小学校から中学校に進むと、英語の授業は様変わりします。
小学生の時期に家庭として英語に取り組むなら、この学校英語のギャップを埋めることを意識することが大切です。
小学生の英語教科書を見ると、挿絵や写真の割合が多く、英語の文字がほとんどありません。幼児向けのテキストかと見紛うほどです。
「話す」ことや”コミュニケーション能力”を意識するあまり、「読む」ことが軽視されてしまっている印象です。
しかし、小学生は耳と目からの情報に敏感なので、音の学習と文章を読む練習が向いています。
単語や文法の知識を増やすことは、後からいくらでもできますので、急ぎません。
小学生の時期に最低限取り組むなら、音を聞き取ってマネて声に出したり、文字を見ながら音読したりという練習を継続することです。
これこそが、中学英語に直結します。
また、正しく音読する練習をしておけば、中学受験の勉強でしばらく英語学習から離れたとしても、確かなベースが残るのです。
終わりに
いま首都圏は中学受験シーズン真っ只中で、東京都内の中学入試が目前です。
Minnie家は、昨年Leahの受験があり、来年はLucasが受験予定です。
親として、何をするにも、ものごとの優先度を考えることが迫られます。
今回は、英語育児の話題から離れて、「英語に時間をかけたくない」家庭、「英語学習をどこまでやるか」迷っている家庭に向けて、ポイントを提案しました。
英語に対する「我が家のスタンス」を決める参考になれば嬉しいです。
お読みくださりありがとうございました。