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〈愛媛県鬼北町〉地元中学生とデザイナーで地域の魅力発信冊子をつくる vol.3

レベルフォーデザイン赤嶺です。
広見中学校冊子プロジェクト 第3弾の記事になります。

ここに至るまでの内容についてはこちら(第1弾記事第2弾記事)をご覧ください。本日は、初回授業で制作した生徒たちの作品の紹介と、そこから制作したコンセプトとロゴマークについて書いていきたいと思います!



ワーク1  「単語で連想ゲーム」生徒作品

それではさっそく。「言葉」で鬼北町の魅力を表した「単語で連想ゲーム」の作品をいくつか抜粋して紹介します。

連想する単語を繋いでいく、というシンプルなお題ではあるのですが、人それぞれ、個性がはっきり出ていてとても面白い結果となりました。
感情、形容詞、オノマトペを書くというルールを設けましたが、「サワサワ」「きれい」「泳げる」「みんな優しい」といった固有名詞ではない言葉から、生徒たちが捉えている町へのイメージを知ることができて、このワークをやって良かったと思いました。

そして、シートを全て集計・カテゴリ分けをして、2回目の授業にて発表しました。

こんなクイズを挟みつつ。ちなみに正解は3番の402個です。
鬼北町のマスコットキャラクターの2人。きほくんの方が多いかと思いきや、正解はきじの助。今回は連想ゲームなので、鬼北名物の「きじ」から連想した人が多かったです。

全体で一番多かった単語は「」。
鬼北町は「南予(なんよ)地方」という愛媛県の南西部に位置しており、四方を山に囲まれた里山です。体感としては、町内のどこにいても山が視界に映るような、自然豊かな土地です。

鬼北町【きほくちょう】は愛媛県南西部に位置し、旧広見町・旧日吉村の1町1村が2005年1月に合併した町です。南は松野町、西は宇和島市、北は西予市、東は高知県梼原町・四万十町に接しています。総面積は241.88平方キロメートルで、1,000メートル級の山地に囲まれた典型的な中山間地域です。

鬼北町ウェブサイトより

山に続いて多かったのが「」。さらに、「ゆず」「おいしい」「鬼王丸」「ゆずゼリー」と続きます。

「鬼王丸(おにおうまる)」は道の駅 広見森の三角ぼうしに設置された、町のシンボルともいえる鬼の巨大オブジェです。鬼北町は、自治体で唯一「鬼」という漢字がつくことから、鬼のまちづくりを進めています。鬼王丸は全長約5メートルの巨大な像なので、実物は迫力たっぷりです。

鬼王丸 ©️竹谷隆之/鬼北町

一方、「ゆずゼリー」は鬼北町を拠点とする1932年(昭和7年)創業の「高田商店」さんの人気商品。町内の給食にも提供されているようで、生徒たちにとても愛されている様子がうかがえます。

高田商店 ゆずゼリー


形容詞や動詞などでは1位が「おいしい」。その次に、「きれい」「やさしい」と続きました。個人的には、この並びはとてもしっくりくるものでした。

「きれい」については、川や山などの自然から連想されているケースもあれば、昨年校舎をリニューアルしたばかりの「広見中学校」から連想されている場合もありました。

そして多かった「やさしい」「人がいい」「いい人」などのワード。私自身も鬼北町を訪れるたびに、人々のあたたかさを強く感じます。これまで鬼北町でワーケーションやイベントのお手伝いをさせていただいた際にも、訪れた方々から「本当にみんな親切」「温かい町だね」という声を多く耳にしました。生徒たちもそのように感じていることが分かり、なんだか嬉しい気持ちになりました。

「オノマトペ・擬音」部門では「わいわい」「ザワザワ」「キラキラ」「しゅわしゅわ」などがランクイン。この授業をしたのがまだまだ暑い9月中旬ということもあり、夏を連想させる言葉が多く挙がったのが印象的です。また違う時期にワークしたら違う単語が出てきそうだな…と実施時期による違いも感じて、総じて興味深い集計結果となりました。


ワーク2  「イメージを形にしてみる」生徒作品

続いて、「イメージを形にしてみる」。
図形は丸・三角・四角のみで、色数も7色と限定したので、表現の仕方やモチーフ選びに苦労したかもしれません。ですが、結果的にとてもユニークな作品がたくさん誕生しており、感動しました。

どの作品も大変素敵な仕上がりでしたので、全作品アップします!


生徒44名で、合計61作品が誕生しました!
「1つを作り終えた人は2つ目以降を作ってもいいよ」と声かけをしていたので、一人で2個・3個と作っている生徒がいたのが印象的です。

例えばモチーフが同じ「山と川と太陽」でも、山の重なりや位置、太陽の色形など一人ひとりの違いがあります。さらに、台紙の丸型を利用して、顔にしたり、果物の輪郭にしたり、木にしたり、バウムクーヘンにしたり山の連なりを表現するためにたくさんの三角形を重ねたり、限られた形・色で「きじ」という複雑なモチーフに挑戦したり。言うとキリがないくらい様々な工夫が凝らされていて、子どもの伸び伸びとした自由な発想ってすごく魅力的だなと、改めて気づかせてくれたワークでした。


冊子のコンセプトとロゴマーク

生徒たちが見える化してくれた「言葉」と「形」の両面から、今回の冊子のコンセプトとロゴマークを考えていきました。

最初に、今回の冊子のコンセプト。

※広中(ひろちゅう)=広見中学校の愛称です。

一番核になるのは最初の部分、
広中成分 濃縮100%」。

最初の記事にも書いたように、今回、生徒たちの考えをどこまで活かし、私たちがどこまで先導するべきか、とても悩みました。そんな中で行った最初のワーク2つ。
想像以上の頑張りと素晴らしい作品たちが「生徒たちが考えたものをそのまま活かしたい」と考えていた我々の背中を押してくれました。

そして、今回のプロジェクトを象徴するロゴマークも作りました。

このマークが何を表しているかというと、

この生徒たちの姿です。

実線ではなく、実線によって作られる白地に意味を持たせています。

町の魅力って、一人で見つけるものではなく、さまざまな経験や思い出、考え方を持った生徒たちが集まることで生まれてくるものだと、初回授業で頭を突き合わせて作業する生徒たちの姿を見て、改めて実感しました。
みんなで「きらり」と輝く鬼北町の魅力を見つけて発信しよう、という思いを込めて、このロゴマークを制作しました。

ロゴマークの運用については「つながる、広がる。」を意識して、カラーは画用紙で使用した7色を設定し、つながり広がっていくようなイメージの展開を想定しています。

実は、この連載記事のバナー画像にも使用しているこのロゴマーク。
今後どんどん活用して、このプロジェクトの輪をより一層広げていきたいと思っております!

初回授業を終えて

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

月並みな表現になりますが、生徒たちの発想力や表現力にこちらが学ぶことが多かった初回授業でした。この先の冊子作り、絶対いいものができるぞ、とますます楽しみになりました。

次回からはいよいよ、冊子の内容本編です。まずは、生徒たちが地域事業者に取材・撮影した様子をお届けしたいと思います。

本日も、ありがとうございました!

⚫︎この記事を書いた人
赤嶺 舞(あかみね まい)/ L4D / デザイナー
1994年生まれ、神奈川県出身。企業や地域のブランディングデザインを中心に活動中。ゆくゆくは、大学時代からの学びを生かし、培った力を子どもや教育に還元していきたい。
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