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産直ECについて思うこと


今週この動画を見ました。
思ったことを書こうと思います。


わたしの立ち位置

わたし自身、産直ECが今後どうなるのかはわからないので、興味を持ってみています。
仮にいまの会社で働いていなければ、Z世代寄りのミーハーな性格なので、
「産直ECっていいよね!農家さんと直接繋がる、それがこれからの時代必要だよね!」そんなふうに思っていたはずです。

けれど「(基本的に有機)、かつ、新規就農の小規模な農家さんの流通」に関わっているいま、そんなふうには思っていません。それは農家さんにとってもネガティブなことも、食べる人側にとってもネガティブなことがあるなとわかったからです。

だからと言って、それらを否定する気にもならない、というのも、実際に産直ECを使っている農家さんもいるし、それらの会社の売上も上がっているよう?なので、まあどうなるんかな、👀とウォッチングしてます。


「供給」と「共感」はちがう世界の話

動画の後半の方が、お互いに並行線で終わらないなあと思っていたのですが、なぜそうなったのか、を考えてみました。

前半にポケマルの成り立ちがあったように、ポケマルは「日本の第一次産業をどうするのか」ということではなく、「都市と地方の関係性」を課題にしています。
一方で、徳本さんは「日本の第一産業としての農業を今後どうしていくべきか」を課題にしています。

そもそもその前提が違うので、交わることはないでしょう。

前提が違うと、第一に考えることすら違ってきます。

徳本さんの前提にあるものは「安定供給」です。
日に日に土地が空いていく中で、どれだけ効率的に農業をしていくのか、堆肥を循環させていくのか。
ご自身でも生産出荷をしていて、また、マクロな視点で日本の農業について考えればそれはその通りだと思います。

それに対して中国っぽい、目指す世界と矛盾しているという指摘がありましたが、「供給」する側の頭であれば、間違ってはいないというか、合理的です。

一方ポケマルの2人の中には「供給」という考えはないように見えました。「供給」するものではなく、「共感」するもの。そして、徳本さんの中には「共感」という考えは前提にないため、並行線になったのだと思います。

そしてポケマル自体、とてもミクロな世界線での話です。徳本さんのような大規模に栽培してる農家さん、市場やJA出荷している農家さんは相性がよくありません。どんなにポケマルが成長したとしても、全農家さんが使うサービスではありません。

「日本の農業」と言っても、マクロ的視点で考えるのと、ミクロ的視点で考えるのは答えが違ってきますし、それを同じ机の上に並べて議論してしまうからこそ、分かり合えないのではないか、と思います。

コーヒー業界と言っても、スタバの戦略と街の家族経営の喫茶店の戦略はちがいます。
それを同じように考えるのはそもそもちがうのではないかということです。

徳本さん
・日本の農業をマクロにみている
・安定供給が大切

ポケマル
・都市と地方の関係性
→日本の農業でいうとミクロ
・共感が大切

どちらの気持ちもめちゃくちゃわかる

わたしも実際に農家さんから届いた野菜を動かしているので、どちらの気持ちも本当によくわかります。
効率的に生産出荷していきたい。それこそがこれからの日本農業のためになる、という徳本さんの気持ちも、そして、安定供給してもらいたいのは小売店スーパー、そして食べ手の人も望んでいます。
産直だけの流通では「安定供給」はできません。

けれど、だからと言って「安定供給」さえあればそれでいいか。
まあ、気にしない人はそれだけでもいいでしょう。どこの誰がどうやって作ったのか、に関心がない人もいます。

でもそれだけではないよね。という人も増えています。
「顔の見える関係」「直接買える」ということに価値を感じる人もいます。「安定供給」以外の価値を選ぶ人もいますし、それを求める生産者さん、食べ手の人がいるのも事実です。
そこには「共感」があります。
共感があるからこそ、面倒でも値段が高くても、そこにお金がまわる世界ができてきています。


D2Cはどの業界にも広がっている

「供給」視点からみれば、産直ECが日本の流通100%になることは絶対にありえません。
ポケマルの2人も「供給」視点で語っていません。産直ECが日本の食の流通シェア100%するのだ、なんて言ってません。

2人が話していたのは「共感」の世界です。

ポケマルは、生産者さん⇄消費者のプラットホーム
つまりD2Cのプラットホームです。

そのD2Cは世界的にも、そしてZ世代を中心に広がっています。

世界のユニクロで有名なファーストリテイリングですが、日本中の全員がユニクロで洋服を買うわけではありません。

いまの時代
minneで個人作家さんの洋服も買えます。
D2Cのブランドもすごく増えています。
個人であっても、工場とやり取りをして服を作って売れる時代です。
クラフトチョコレートのブランドもたくさん出てきています。
クラフトビール、クラフトジンも。
数えきれないほどの自家焙煎の珈琲屋さんが全国にあります。
個人が作って、個人が売る時代です。

なにも、ユニクロやファストファッションが全部なくなって、全ての洋服が個人が作るD2Cになるわけありません。
明治やロッテがなくなって100円で買えるチョコがなくなって、800円のクラフトチョコレートが100%になる世界なんてありえません。

そんなコモディティですぐに手に入るものがあるのと同時に、
個人が小さく作って、直接繋がって、売っていく、そんな時代。「共感」や「こだわり」、「誰が作っているのか」に価値を求めて買える時代、買う人がいる時代です。



批判的なコメントにモヤモヤする

わたしも産直ECって課題があると思っています。
農家さんにのことを思ってもよくない側面もあると思っています。

動画でも話していた通り、「技術」や「知識」や「売り方(無農薬表記のこととか)」の課題はあります。曖昧なものを野晒しにするのはよくないし、間違った形で野菜が売られていくのもそりゃあよく思いません。
いや、それはわかります。本当にわかる。
(というか、そういうところ本当にどうにかすべきでは、産直EC。)
でもだからと言って、それを完全に否定するのは、なんだかちがうのではないかなと思ってしまうのです。

実際に産直ECというプラットホームがなくなっても、メルカリやストアーズ、自社ECで売っていく農家さんはなくならないのですし、それを求める消費者もゼロにはならない世界です。
産直ECがなくたって、小売店やスーパー、道の駅やマルシェなどで間違った表記での販売や売り文句をする人は残るでしょう。

そして何よりも、社会が、個人と個人が繋がっていく、「共感」や「こだわり」にお金を払う、という世界が広がっているのにも関わらず、産直ECに批判的な考えは、その多様性を排除してるんじゃないかと思ってしまいます。
農家さんにとっても買い手にとっても、チャネルの一つとしてあってもいいんじゃないかなって思うのです。(まあうまくいくのかは知らんけど)

そして批判するのはいいんですけど、
「供給」視点と、「共感」視点
「マクロな世界」と、「ミクロな世界」をちがうことを提示、認識して考えていく必要があります。

わたしが関わる農家さんでも、なんでこんなことするの😂もっと効率的にやったらいいのに、とか、ほんとよくやるよな😂なんて農家さんが本当にたくさんいます。(正直、呆れてあごが外れそうなほど、)一見「非効率」なことしてる農家さんもいます。

おそらくマクロな視点でみたら、それらの農家さんが日本の農業を変えていっている、と言えないかもしれません。だって小さすぎるので。
でももっとミクロな視点でみたら、その地域に貢献していたり、その農家さん自体がやりたいことをやったり、「供給」以外の価値やたのしさをわたしたちに提供してくれています。そういう世界もニッチではありますが、存在するし、それで生活している人がいるのです。



まとめ

つまり言いたいことは
①そもそも「供給」と「共感」はちがう世界の話なので別で考えるべき
②「共感」も価値になっている時代がどの業界にも広がっている
③その世界観がないとすれば、農業界はすごく多様性の排除をしちゃってる
④とはいえ、課題はあるのでプラットホーム側で責任を持っていい感じにしてほしい


冒頭にも書いた通り、わたしは課題がわかっているからこそ眺めているだけです。
そして批判する人と同じように、
「農家さんと直接繋がるっていいよね。無農薬野菜わたしも買おうかな✨」とかいう、昔の自分のような人が増えるのもどうかと思うので、その辺りのことは課題としてプラットホームが側が努力してほしいことだと思います。

とどのつまり、産直ECではなく、坂ノ途中で買ったらいいんじゃないですかね☺️





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