「みちのくひとり旅」山本譲二
歌手、山本譲二さんのヒット曲、「みちのくひとり旅」がある。
そのヒットの裏の壮絶なお話を聞いた。
まだ新人、誰も名前を知らない崖っぷちの山本譲二さんが、作曲家の先生のお宅を訪問。
先生が歌って聴かせてくれた「みちのくひとり旅」、サビの部分を聴いた時にこれだと思い、土下座で「この曲を歌わせてください」と頼んだ。
この子でいいんじゃないか、と歌をいただくことになる。
レッスンをする中でタイトルが氣になる。
当初この歌のタイトルは「最後の女」だった。
でも、曲の雰囲氣から「みちのくひとり旅」の方が良いと感じ、ヒットもない新人歌手が大先生に、タイトルの変更を嘆願。
山本丈治さんの情熱が勝ってこれも認められる。
当時としては、いや、今でも掟破りの暴挙と言える。
レコーディングが終わり、師匠の北島三郎さんがこの曲を聞く。
「譲二、この歌はやっぱりいい曲だ。
この歌詞に『最後の女』とある通り、お前はこの曲が最後の曲だと思い、
一所懸命に歌いなさい。
2人でも3人でも、そこに人がいるなら歌詞カードを配って歌え」
と北島三郎さんは山本譲二さんに言ったそうだ。
山本譲二さんは、その言葉の如く、新幹線の中、飛行機も待合デッキ、至る所で歌ったそうである。
それがあっての、あのヒットだったのだ。
誰が魂を込めているか。
魂のこもったものは、活きる。