ミニうさ
日々、かんがえたこと。
趣味で書いている短い話です。
骨折をするに至った経緯 30代、会社員。 雪国生まれ雪国育ち。 運動は苦手だけど、スキーはできる(ただしひどい筋肉痛になる)。 いま住んでいる街で零下になることは珍しかったが、その冬は非常に寒く、水道管凍結の被害が相次いでいた。 とある日は朝から雪で、大粒のボタン雪が空からぼとぼと落ちてきていた。 私は通勤のため、ダウンコートを着て冬用のブーツを履き、お気に入りの傘を差して横断歩道を渡っていた。 横断歩道の真ん中あたりで派手に転び、そのまま起き上がれなくなった。 立ち上が
「ちがうちがう、そうじゃ、そうじゃない。」 それが死んでからの第一声。 気付いたら、この世とオサラバしていた。 今でいうと『あの世』になるのか? いずれにせよ、私は死んでいた。 幽霊ってやつになっていた。 棺に入った自分を上から見下ろすと、 死化粧が思いのほか似合っていた。 むしろ生きているときより顔色がいい。 ただ口紅の色が好みとは違った。 そりゃ化粧する人が私の好みを知っているはずもないので仕方がない。 問題は、写真だ。 棺の横に並んだ、遺影。
「生理痛で起き上がれない」 「家事が全くできない」 「酷い時は吐く」 というのをまわりの女性から聞いたことはあったが、自分には無関係な話だと思っていた。 自分は健康で、生理痛もほとんどないから、薬なんて必要ない、そう思っていた。 そんな私だったので、30歳を前に初めて婦人科へ行った際には、ちょっとしたカルチャーショックを受けてしまった。 婦人科には様々な年代の女性がいて待ち合い室はギュウギュウ、診察に至るまで2時間近くも待った。 そんな状況にもかかわらず、当初の予定にはな
高校時代から毎日のように日記を書いていたホームページがサービス終了を迎える。 闇の記録がインターネットの亡霊になる前に、綺麗さっぱり消えて無くなってくれるのには正直ホッとする。 それでも、心の隙間は埋めきれない。 自分の為に、自分の記録を書いていた。 時々、小説のようなものを綴ったり、夢を記録してみたりもした。 読み手は自分と、地元の友人ただ一人。 万が一、他人の目に触れることなどあってはならないので、厳重に鍵をかけてアクセス制限もかけた。 二人だけの交換日記であり、自分を
2021年、日本。 電子マネーが一気に普及したように見えた昨年、銀行口座からの不正引き出しが相次いで発覚。 銀行への預金に不安を持つ者が増え、自宅に現金を置く人々も徐々に増加傾向にあった。 「オンラインストアの在庫、増やしておいて。」 とある事務器具の卸し業者に勤める私は、2月初旬にはWEB担当者に小型金庫の在庫を増やすように指示を出していた。 春先にはさらに売れ行きが伸びると見越し、月末の発注でメーカーの在庫の半量を確保。 部下には気が触れたんじゃないかと言われたが見
SNSに投稿しては反応のないことを己の承認欲求が承認してくれない。 アプリを開いては更新ボタンを押し、通知がないことをわざわざ確認して溜息をつく。 次の投稿をする前にもういっそアカウントごと消してやろうかというやる気だけは出してみる。 スタバで何を飲むにもショートサイズの私はケチで小心者。 「人生は何事をも為さぬには余りに長いが、何事かを為すには余りに短いなどと口先ばかりの警句を弄しながら、事実は、才能の不足を暴露するかも知れないとの卑怯な危惧と、刻苦を厭う怠惰が己の凡てだ