購入書籍のジャンルから見る消費者購買行動の違い
こんにちは、マインディアの山口です。
皆さんは普段どれくらい本や漫画などを読まれているでしょうか?毎月何冊もの本を購入する方や、普段は忙しくてあまり本を読む機会がないという方もいらっしゃるかと思います。
2018年に文化庁が実施した国語に関する世論調査では、約52.6%の方が月に1冊以上の本を読んでいるという調査結果があります。また、同年では25.2%の方が書籍の購入に電子書籍を利用していて、その比率は年々上昇しています。
今回は、マインディアが保有する横断的なEC購買データを活用し、購入する書籍のジャンルによって消費者購買行動の違いがあるかを調査していきます。
調査データについて
今回の調査は、電子書籍の購入者をサンプルユーザとしてピックアップし、当該ユーザが購入した書籍のジャンルによって購買行動がどのように変わるのかを調査していきます。
調査対象
楽天Koboで電子書籍を購入したユーザが、同時期に楽天市場・Yahoo!ショッピングでどのような商品を購入しているかを調査することで、購入した書籍のジャンル毎の購買傾向の違いを確認してみます。
書籍購入者と書籍非購入者のEC利用頻度の比較
弊社のEC購買データの調べでは、調査対象期間中に楽天市場・Yahoo!ショッピングで一度でも商品を購入したことがあるユーザのうち、約3%の方が同期間内に楽天Koboで電子書籍も購入しています。
また、調査対象期間中に楽天Koboで電子書籍を購入していないユーザ(以後、電子書籍非購入者)と、調査対象期間中に楽天Koboで電子書籍を購入したことがあるユーザ(以後、電子書籍購入者)それぞれの楽天市場・Yahoo!ショッピングの利用状況を比較した結果が以下です。
このように、電子書籍購入者と電子書籍非購入者では中央値にして購入回数・購入金額・購入商品数は4倍以上の差があることがわかります。
電子書籍購入者は電子書籍非購入者に対してECサイトの利用率が高く、ECサイト運営者側からすると優良顧客である可能性が伺えます。
書籍購入者と書籍非購入者の購買商品の比較
書籍購入者と書籍非購入者の購買商品の傾向の違いを確認するため、購入商品のキーワード出現率の分布を確認してみます。
上記の散布図で上に表示されるキーワードが書籍購入者で出現率が高く、右に表示されるキーワードが書籍非購入者で出現率が高いものです。
赤枠に囲まれた部分が特に書籍購入者で出現率が高いキーワードになり、ゲーム関連のキーワードなどは出現率が高く、逆にネイルやコンタクトレンズ、日用品のキーワードの出現率が低いことがわかります。
購入書籍のジャンルについて
次に電子書籍購入者の特徴を確認するために、購入書籍を以下のジャンル毎に分類し、ジャンル別の傾向を確認してみます。
今回は購入書籍の内容から以下の書籍ジャンルに分類を行いました。
漫画購入者と書籍非購入者の購買商品の比較
こちらは漫画購入者と書籍非購入者のキーワード出現率の分布です。
漫画購入者はゲーム関連のキーワードが非常に高く、ワイヤレス製品などの周辺機器のキーワードも上位に出現しています。また、美容というキーワードも上位にあることがわかります。
逆に、コンタクトレンズ関連のキーワードは少なく、またベビー用品や日用品に関連するキーワードの出現が少ないこともわかります。
子育て関連書籍購入者と書籍非購入者の購買商品の比較
こちらは子育て関連書籍購入者と書籍非購入者のキーワード出現率の分布です。
子育て関連書籍購入者はやはり新生児・こどもというキーワードの出現率が多くなってます。また、出産祝いやお返し、グルメなどのキーワードや、日用品に関するキーワードも多くなっていることがわかります。
逆に、Tシャツ・インナーなど大人用のアパレル関連のキーワードの出現率は低くなっていることがわかります。また、訳ありというキーワードの出現率が低く、純正というキーワードが増えていることから、生活が子供中心となり、品質にこだわる傾向が見えてきます。
書籍購入データと消費者行動の可能性
今回、電子書籍サイト「楽天Kobo」の購買データをもとにECサイトでの購買状況を見てみましたが、購入する書籍ジャンルによって普段ECでどのようなものを好んで購入するのかを発見することができると考えています。
また、今回対象とした楽天Koboについては漫画の購入者が多く、漫画以外の書籍の比率が少ないこともあるため、Kindleなどの漫画以外の書籍の購入が多いサイトや、その他の電子書籍サイトの購買データも含めることで、楽天Kobo以外で電子書籍を購入したユーザも含めてより詳細な調査も可能です。
ユーザの興味・関心を把握することは、ECサイト運用や製品開発にとって重要な指標の一つとなるため、このような異なるサービスの購買行動から推測することは、ユーザ理解や広告配信などにも非常に有効になるのではないでしょうか。
マインディアではこのようなサイトを横断したEC購買データを用い、お客様とのラストワンマイルを繋げるサポートを行っています。自社サービスの利用者や競合他社の利用者の特性を把握したいというお悩みがあれば、ぜひお問い合わせください。
最後に
マインディアでは、ユーザを軸としてオンラインアクションデータを蓄積、分析可能なサービスを提供しています。これによってユーザ単位の購買全体からインサイトを得ることができます。サービスにご関心をもっていただけた方は、ぜひ一度こちらからお問い合わせください!
マインディアのデータストラテジストポジションに興味をもっていただけた方は、ぜひカジュアル面談にてより深いお話をさせてください!