好きnote 9 「豊原エスさんの詩」
人生の中でピンチだと思った時に助けになる言葉がある。
どうにもならんかもしれないと思った時に、ふと思い出す詩がある。
……………
今はバラバラだけど
わたしたち皆が持つ
この素晴らしい歯車が
カチッと合えば
カチッと合えば
すぐに動き出して
信じられないくらい
美しい音楽が聞こえてくる
「うた」より
詩:豊原エス
絵:足田目朗
………………
私は豊原エスさんの詩が好きだ。
エスさんの詩に出会ったのは、ちょうど20年前くらいだろうか。当時の私は写真と詩にハマっていた。MINOLTAのコンパクトカメラを常に持ち歩いては日常の風景を写真に撮り、日々思ったことをノートに書き留めていた。内向的な私には自分の世界を確認して安心するようなこのふたつの行為が好きだった。誰かに見せるつもりもなく、自分の日課で満足していたのだが、絵描きの友人が参加するグループの中に声をかけてもらって、初めて人前に作品という形で自分の写真や言葉を展示をした。私の世界が内だけでなく、外に開いた瞬間だった。
そんな中、絵描きの友人から「たたみ画報」というフリーペーパーをもらった。その中に豊原エスさんの詩と、足田メロウくんの絵のページがあった。
何かよくわからないけど惹かれた。「何か」はうまく説明できない。その後、絵描きの友人が京都にあるペチカというお店で個展をするので観に行った際、足田メロウさんにもたまたま会い(当時は足田目朗さんで、私は足 田目朗 "あし だめろう"という読みと勘違いしていた)、その時に「ホイッスル」「うた」という詩集を買った。特に「うた」が好きで、何度も読み返し、「うた」のラストページには先ほどの詩が書かれていた。
ぽつん ぽつん とした言葉が、途中からスピード感を持って、本当に音楽のように感じられる詩集。
私はとても不器用なので、なかなか自分をうまく出せない。うまく出そうとしてることが、そもそも間違いなんじゃないかと、自分の書いた言葉で気づく。そんな風にぐちゃぐちゃと余計なことを考えてしまって、いろんなことでつまずく。他の人なら悩まないことでたくさん悩んでウジウジしがちだったし、自分を素直に出せないことで自家中毒起こして自己嫌悪に陥りがちだった。
そんな中で出会ったエスさんの詩は、何だか希望に感じられたのだ。今はバラバラだけど、私にも素晴らしい歯車があって、何かを機会にカチッと噛み合って、私の魂が全身全霊で歓喜の歌をうたうように生きられるんじゃないか?という思いで。
そこからエスさんの詩集を少しずつ集めた。「歌いながら生きていく」という詩集も素晴らしい。やはり最後のページが好き。
この詩はその後、エスさんの許可をいただいた上で私が主催したイベントのタイトルに使わせてもらったりした。その際には、エスさんやメロウさんにもご出演いただいた。
この時のフライヤーを見返すと、こんな幸せなことはないと思う。
ただ、私がいくら好きだと言ったところで、エスさんの詩の良さが伝わるかどうかはわからないので、エスさんの許可のもと、好きな詩を抜粋して載せます。
エスさんの詩はこちらで購入できます。
https://www.creema.jp/creator/3202025
私が抜粋した詩集はだいぶ古いものだから、こちらにはないと思いますが、もし気になった方がいたら嬉しいです。
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