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好きnote 47 「ソテツ」

気づいてしまった。
ソテツという植物のとんでもない魅力に。

ソテツ雌花
これもソテツ

今働いている職場は家から徒歩5分くらいの場所にある。さらに近道があり、帰る時はその近道を通る。その近道の並木に木が植えてあって、その中にソテツがあった。何気なくあるので、あまり気に止めてなかったのだけど、ある日「え? コレ何?」ってなった。

雌花

「何かデッカいもんが真ん中にある。 葉っぱ? 実かなんか?」と思ってしばらく観察して、家に帰って調べたらソテツの雌花だった。ソテツには雄と雌があるみたい。雄株と雌株があるってことだね。何十年も生きてきて初めて知った。

そういえば2年前に西表島に行った時もソテツを見たなと思いました。

西表島で見たソテツ。めっちゃ蝶に囲まれてた。


ソテツの花ってフェルトみたいで大きくて面白いなと思って、それから帰り道に見るようになった。ある日、何気なくソテツの花を見ていたらこんなものを見つけた。


なんかうっすらピンク

何なの? わかるかわからないかくらいの感じである薄桃色の何か。そして、じっと見てたら、ますます魅力的に感じた。

何か見れば見るほど艶めかしい。パッと見の素朴さからは伺え知れないエロチシズム。どんどんソテツに惹かれていく。

そうすると、今まで何気なく見すぎて気づかずにいたソテツたちがどんどん目に入るようになってきた。

近所の巨大なソテツ
仲良しソテツ
ひょっこりソテツ

どんどんソテツが視界に入ってくる。
何これ、これは恋?

そしてつい先日、とうとうこんなソテツの姿を見てしまった。

エロい!!!!!

なんて破廉恥な! いけません!! お母さん許しませんよ!!!

と思いながらも、「えっ!? 中は、中はどうなっているの? もっと、もっと見せて!!! 」と興奮しながらジロジロ見たり写真撮ってる私が居た。もう、ただの変態である。

ふと、そういえば写真家の荒木経惟さん、アラーキーもひたすら花の写真を撮っていたなと思い出した。


荒木経惟「花人生」

なるほど。アラーキーも花をエロい目で見ていた。エロい目って言うと何か違うか。どう言ったら良いんだろう。強烈なくらいドキドキして、もっと見たいし、もっと知りたくなる。ある意味神秘的でもあって、どうなっているのか、どうなっちゃうのかをすごく知りたいような気持ちになる。そんな風に花を見てしまう感性が私にはあるんやなと思った。人間は歳をとると段々と花鳥風月に惹かれるようになると聞くから、単純に歳をとっただけかも知れんけど。

しかし、あんまりにもソテツの花がエロかったのでSNSにアップしたら、友人がこう教えてくれた。

それは実やで。毒があるやつ。昔、戦時中に、沖縄の人が毒抜きしてお粥にして食べたって聞いたことある。

それを聞いて思い出した。そのエピソードを、私は生で聞いたことを。

石垣島に住んでいた時、「すけあくろ」というBARでひとりで飲んでいたら、地元の高齢男性が来店した。カウンターには、私とその男性しかお客さんが居なかったので、何となく少し会話を交わしていた。その時に、その男性が私にこう言ったのだ。

「お姉さんの、その赤いワンピースを見てるとソテツの実を思い出す」

当時の私はソテツが何かわからなかった。ソテツを「粗末な鉄のことなのか?」と理解し、「粗末な鉄の赤錆みたいなことを言ってるのかな?」と思って笑っていたら、「何がおかしいことがあるか! ソテツの実はな、俺らうちなーが戦争で食い物がない時に命を救った植物ぞ! 食えたもんではない、不味い実だったけど、それでも食べられるものがあるというだけでありがたかったんだ! そんなソテツをお前が笑う資格なんてない!」と怒り出し、「気分が悪い」と言って帰ってしまった。その時、とても驚いたし、「そんなもん知るか!」とも思ったけど、教養って大事だなとも思った。

今まで気づいてなかったけど、ソテツとは昔からご縁があったんだなと不思議な気持ちになった。まったく関係ない時系列で打たれた点が一気に線になったような感覚。ソテツと私は何か縁があるんかもな。


ソテツの実を思い出すと言われたワンピース。
人に譲って、今は手元にありません。
「花人生」はアラーキーにサインいただいた。

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よしだみねこ
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