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営業とマーケターの意見が合わない! 日々の悩みや課題が寄せられた「マーケターあるある」を読み解く

7月13、14日に東京・恵比寿で開催したアドビのユーザー交流イベントに、みんデジ編集部も出張編集部として参加。来場されたマーケティングに関わる方から、日々の悩みや課題についてその場で投稿してもらう「マーケターあるある」コーナーを実施しました。

会社の部署間のコミュニケーションやマーケティングツールの使い方、グローバル企業ならではの悩みなど、さまざまな視点で書いてもらった「あるある」は40を超え、会場に掲示された投稿を見ながら「分かる!」「あるある!」と共感する姿も多く見られました。

今回は会場で寄せられた投稿の一部を紹介しながら、マーケターならではの悩みや課題をアドビでプロフェッショナルサービスのマーケティングを担当する河合康太朗(かわい・こうたろう)さんが全3回にわたって解説します。

<プロフィール>
河合康太朗/シニアサービスマーケティングマネージャー
国内企業やスタートアップ、北米ソフトウェア企業などを経て、2020年にアドビに入社。シニアサービスマーケティングマネージャーとして、日本市場のプロフェッショナルサービスのセールスマーケティングを担当している。


営業とマーケターで価値観が合わない理由とは

会場で寄せられた投稿の中で多かったのが、部署間での意見の相違。特にマーケティングと営業との価値観の違いについて、多数の意見が寄せられました。

  • MQLを営業にパスしても無視される

  • 「その施策でいくら売上が上がるの?」と聞かれてマーケティング施策をわかってもらえない

河合:マーケティングの役割を「良質なリードを獲得して営業にパスする」という文脈で捉えた場合、この2つはたしかによく聞きます。

営業にとってマーケティングチームは重要な存在ですが、日々の業務の中にはどうしても優先順位が存在します。他に優先すべき案件があることでMQL(Marketing Qualified Lead、案件確度の高い見込み顧客)への対応が後回しになることもあるかもしれません。

また営業目標が達成間近であれば、営業数字の観点からするとMQLを受け取ってもすぐに対応する必然性が希薄になってしまうこともあり得ます。

一方で、営業目標の達成見込みの状況によっては「MQLになっていなくても良いから、リードをパスしてほしい」という営業もいて、それもひとつの方法です。

また、これは会社の評価制度とも関係することがあります。例えば、営業目標数字を達成したときに営業インセンティブが発生する企業もありますが、企業によってはその金額に上限がある場合もあります。そうすると営業目標を大きく超えてまで営業活動をする理由が弱くなるかもしれません。

これらの対策としては、マーケティング部門が営業部門のマネージャーと直接話して、MQLが適切にフォローされていない現状とそれがもたらす悪影響について認識を共有する。そして、この問題を解決するための協力を得ることが重要です。

ただ単に「MQLをフォローしてください」と営業にお願いするのではなく、MQLがフォローされないことで、営業組織として(個人の営業としてではなく)どれだけの営業機会を逃しているのか、どれだけのマーケティング費用が失われているのかなど、個人の都合ではなく組織の都合として議論することが重要です。

会社名や肩書き、住所などの表記揺れは修正が大変

データの誤記や表記揺れを修正する「データクレンジング」についても、多くの意見が集まりました。

  • データクレンジングしんどい

  • データゆれすぎ問題。データはキレイにしたい……

  • 住所入力してもらうとメンテナンスが大変

  • 自分のフォーム入力時、会社名のところで名寄せ気にして、正式名でかきがち

河合:マーケティングがコンタクト情報を取得したら、基本的にはMA(Marketing Automation、マーケティング活動の自動化ツール)やSFA(Sales Force Automation、営業支援ツール)といったシステムに情報をアップロード(場合によっては自動連携)しますが、その際に文字の表記が少しでも違うと、それぞれ別の一意のデータとして認識されてしまう問題があります。特に、日本に多く見られる問題です。

例えば会社名も「アドビ」と「Adobe」のどちらの表記にするかで、システム上では別の会社として扱われてしまうことがあります。ワークフローの整備やシステムの改修である程度対応できる場合もありますが、アップロードされた情報を整理するデータクレンジング(データの誤記などを修正して正確さを高める作業)に悩んでいる企業は決して少ない印象です。

データクレンジングで言うと、社名だけでなく役職や肩書きに関しても課題があります。日本には「課長代理」や「部長代理」などの肩書がありますが、実際の課長や部長と同等の職務権限を持っているとは必ずしも言い切れず、アップロードする際に手動で相応の役職を選択する必要があります。また、役職や肩書は変わることがありますし、部署異動などもあるので定期的にアップデートすることが求められます。

このほか、住所についても課題があります。例えば、スポンサーイベントなどで獲得したコンタクト情報が、都道府県から市区町村までをひとつの項目として入力されていた場合、都道府県と市区町村を分ける作業が発生します。また、英数字と漢数字の違いで、別の住所として認識されてしまうことも。こうした表記揺れは近い将来、テクノロジーによって解決されることを期待しています。

マーケターとしてできることのひとつは、データクレンジングに費用やリソースをかける必然性や正当性を会社に説明して、そのための投資を得ることです。

いま、自身がデータクレンジングにどのくらいの時間を費やしているのか、もしそれを削減できれば他のマーケティング施策にどのくらい時間を投資できて、どれくらい成果が期待できるのか、などをできるだけ明確に示しましょう。


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