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逃避夢・焼け犬 藤谷文子

えーと、まず、そうだなぁ。私はシンエヴァを見ました。

いやーーよかったねー。そしてエヴァを見返してたわけです。

旧劇がやっぱり好きだなぁとか。破も良いよなぁとかね。

思ってたのです。庵野監督の作品がアマプラでほぼ見れる的な記事を見て

フーン程度に思っていたのですが友人から庵野の実写は見なきゃだめだ!と進言をもらって『ラブ&ポップ』と『式日』を観た。

思ったより刺さった。アート色は強いしなんだろう岩井俊二感が漂うすっきりしない感じ。旧劇感ともよく似てる。

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だから原作を読もうと思ったのだ。

ラブ&ポップについてはこちら


ラブ&ポップはすぐに手に入った。

しかし式日の原作である逃避夢は絶版になってる上に中古すらもう扱ってないのである。

半年以上見つからなかったら神田から高田馬場までの古書店を全部回ってやろうと思うほどだった。

式日のパンフレットにもこの原作が載っているらしいのでパンフでもいいかな~と気弱になっていた。

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毎日検索をかけているうちに著者のこんなツイート。

舞ちゃんって誰だああああああ!!!

毎日ヤフオク等で検索する日々。

そしたらば見つかったのだ。メルカリで。

彼のプロフにはコレクション放出しますと書いてあって、

アニメージュやジブリ(式日もジブリと言えばジブリなのだ)関連の物。

いやーー良かった。出品から5時間で値下げ交渉することなく即決。

ありがたい限りだわ。

物が届くと綺麗なものだった。

表紙の裏にも落書きのようなものが書かれ開くともう彼女の世界なのだ。

あと個人的にはなんて迷惑な!って思ったのだがサイズが特殊サイズ。

よくある単行本のサイズではなかった。こだわりにこだわった作品という事だろう。


結論から言うと、原作と言うか原案に近いかも。

ただ良かった。面白かったと簡単には言えないのだが、良かった。

庵野が触発され、藤谷文子本人が主演をやった作品だった。


式日の中での『監督』は本書内では『舞ちゃん』だった。

穏やかで孤独だから何も受け入れることができる苦しみ。

そうかぁ。


ただ小説としては相当拙い、それも相まっていい味が出てる。

アート色が強いからこそ拙さが登場人物たちの感情の揺れに感じるのだ。

アート文学でもあり純文学でもあると感じた。


結局のところ突きつけられるのだ。『お前は一体何なんだ』と。

そんな本だった。

こんな本は万人受けするわけがない。映画だってそうだろう。

元気を吸い取る作品だったな。

しかし読みたいと思たら我慢できないものだ。いやー当分の宝物ですな。


もう一遍の焼け犬は少し非現実感があるが、まぁ、もしかしたらあるのかもしれないよね。っと思うくらいの話。

グランギニョルなのに終劇しないみたいなそんな気持ちにさせられた。

読後感は小川洋子の暗めで重めな短編にも少し似ている気がした。


いやー藤谷文子は今作品しか小説を書いていない。

彼女自身が求める表現がやはり舞台やドラマなのかもしれない。

しかしいつか文を書いて欲しいものだ。


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