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【無料】基礎から分かる水産用語<30> 定置網漁業とは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。

定置網漁業とは

 一定の場所に長期間設置する「定置網」を利用して魚を獲る漁法。ブリやアジ、サバといった回遊魚をはじめ、イカやタイ、サケなどの多様な魚介類を漁獲する。全国の沿岸漁業漁獲量の約4割を占め、多くの雇用を創出することから、地域の基幹産業に位置づけられる。

 定置網は大型、小型の2種類に分類される。地域や漁獲物などで例外はあるが、一般的に定置網を構成する網のうち、魚を捕獲する「身網(みあみ)」部分が最高潮時に水深27メートル以上にあるものを大型、それ以外を小型とする。また、大型は定置漁業権、小型は共同漁業権や知事許可に基づき営まれる。

 定置網は地域や季節、狙う魚種に応じ多様な網型が使われる。全国の定置漁業関係者らでつくる日本定置漁業協会によると、最も普及しているのは「落とし網」。これは岸側から沖に向けて張った壁状の網で魚群の回遊を遮り、囲いの内に誘導した後、上り勾配の部位を通過させ、奥部の身網に落とし込む仕組み。モノに沿い、沖の方へ泳ぐ魚の習性を利用する。他に「ヒサゴ網」や「マス網」などの種類がある。

 比較的大きな漁業形態の定置網漁業は、漁獲量において沿岸漁業の中核を担う。2021年の定置網漁獲量は約43万5400トンで、同年の沿岸漁業漁獲量(概数)の46%に及んだ。

みなと新聞本紙2022年7月1日付の記事を掲載