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【無料】基礎から分かる水産用語<116> コウナゴとは
みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。
コウナゴとは
スズキ目イカナゴ科イカナゴの稚魚。北海道や三陸、常磐、瀬戸内海と生息域が広く、名称は地域で異なる。東日本ではコウナゴ(小女子)、西日本ではイカナゴ(玉筋魚)、シンコ(新子)などの呼称が一般的。成魚はメロウド(女郎人)やオオナゴ(大女子)、カナギ(金釘)と呼ばれることも。
細長い円筒型の魚体で、大きさは2~10センチほど。主に加工原料として使われ、特に関西圏の郷土料理「釘煮(くぎに)」が有名。九州などで流通するキビナゴとよく混同されるが、こちらはニシンの仲間に位置付けられる。
漁期は全国的に3~6月が中心で、春の風物詩として親しまれる。主な漁法は引網や1そう巻網など。加工形態はつくだ煮や釜揚げ、チリメンなどが主体。大型の個体は食用に回らず、養殖の飼料や釣餌として使われることが多い。成魚は海水温が高まると海底の砂に潜り「夏眠」する珍しい生態で知られる。
季節商材として人気の魚種だが、近年は全国的に漁獲不振が著しい。主産地の一つ、宮城県でのコウナゴ漁は2008年期(3~5月)に約7800トンに達したが、直近5カ年をみると19年期に24トン、20、21年期にほぼゼロ、22年期に35トンと低迷した。23年期も漁模様は上向かず、漁獲量ゼロのまま4月下旬に操業が打ち切られた。
みなと新聞本紙2023年5月23日付の記事を掲載