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養魚秘録『海を拓く安戸池』(31)~構造改善~
野網 和三郎 著
〈注意事項〉
・文章、写真の説明文(キャプション)などは明らかな誤字脱字を除き、原文の通りとしております。ただし、著者略歴については、西暦を加筆、死去された年に関する記述を追加しました。
・敬称は原文に即して省略させていただきました。
・現在では差別的表現として、みなと新聞で使用していない表現についても、原文の表記をそのまま記載しております。あらかじめご了承ください。
・本書原本の貸与や販売は在庫がないため行っておりません。ご了承ください。
(31)~構造改善~
林田漁政部長の栽培漁業実践活動センター運動の時点とも交互して、農業ではすでに構造改善事業が発足を見、沿岸漁業の構造改善の緊要性も大きく浮び上り、漁村建直しのための方途を究明しなければ、水産庁としてもメンツが立たなくなったことは、至極当然と言わなければならない。
日頃水産庁で沿岸漁業の鼻打ちは、獲ることのみに終始しているのが最大原因であり、一方でつくる漁業とも併行させなければ、永久の水産政策は成り立たない、と口ぐせのように言っていた関係から、振興課では課長を始め、小関技官、恩田技官らが、私の上京を待ちわびていたのである。
ノリ、カキ、真珠その他については、既に研究がし尽され、構造改善事業についての考え方はまとまっていたのだが、かん水養魚事業を、この線に乗せてはたして成果を期待することが出来るか?未だしの感が強かったために、とられたものと思われ、会合は振興課の全課員を含めた意欲的なものであった。
課長および小関技官は冒頭の挨拶で、今回は野網さんの頭が素っ空になるまで話してもらい、かん水養魚の実態と将来についての研究会としたいといった前置きで始まったのであるが、終業時から三時間もかかる研究会だったが私は日頃の主義主張、構想をもとに、各技官の質問に応答したのである。質問された内容は大要次のようなものである。