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【無料】基礎から分かる水産用語<218> 金華山とは

みなと新聞で毎週火曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。

みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。


金華山とは

 宮城県石巻市・牡鹿半島から海を隔てた南東に位置する島。周辺は「金華山沖」と呼ばれ、寒流と暖流が交わる潮目に当たる。水温の差が餌場をつくり出し、カツオやマサバ、マイワシなどの好漁場を形成する。また、地元では「金華」の名称を地場産品のブランドに取り入れ、付加価値向上を図る取り組みが広がっている。

 面積約10平方キロ。東北を代表する霊場の一つに数えられ、かねて信仰の対象とされてきた。島内には金華山黄金山神社があり、関係者のみが暮らしている。

 向かい合う牡鹿半島は三陸沿岸の地理的特性を引き継ぎ、魚介類の生息に適した複雑な海岸線が広がる。北部には東北最大の河川・北上川の河口があり、山から栄養豊富な水が流入。このような条件から、一帯の海域はカレイやメバル、アイナメといった幅広い天然魚が漁獲される他、ギンザケやカキ、ホヤなど養殖業が盛んだ。

 水揚げ地ではブランド化の動きが進む。石巻市水産物地方卸売市場では卸や買受人が「金華ブランド」と銘打ち、漁獲物の付加価値向上を目指す取り組みを展開。鮮度やサイズ、脂のりなどをチェックし、上質なマサバにのみ「金華さば」の名称を使い、全国に出荷している。他に「金華かつお」や「金華ぎん」(養殖ギンザケ)などのブランドがある。

みなと新聞本紙2024年8月20日付の記事を掲載