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【無料】基礎から分かる水産用語<72> カズノコとは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。

カズノコとは

 ニシンの卵巣を乾燥または塩漬けにした加工食品。江戸時代のニシン漁の発展とともに普及した。乾燥させた干しカズノコ、塩蔵した塩カズノコ、調味液に漬けた味付けカズノコがあり、近年はカズノコを使ったチーズ加工品やお菓子、調味料など消費の幅が広がっている。

 国内では北海道で生産されるが、原料の多くが輸入品。主に米国アラスカやカナダ、ロシアから供給がある。アラスカやカナダ西海岸、ロシア、日本といった太平洋産は歯応えが強く、主に塩カズノコになる。カナダ東海岸産(イースト物)は食感がやわらかく、味付けカズノコに使われることが多い。その他にもオランダなど欧州産も輸入されている。

 日本で加工原料になるほどまとまった漁獲量があるのは北海道のみ。資源が回復傾向にあり、道産原料を使った製品の生産が増えてきている。

 カズノコは1950年代前半までは道内だけで年間数十万トンの漁獲があったが、その後、漁獲が激減。今も盛漁期に水揚げの中心地だった留萌、増毛、余市、岩内など、道内の日本海沿岸に塩カズノコのメーカーが多い。

 流通量が最も多いのは塩カズノコ。ただ、塩抜きや調味などに手間がかかることもあり、需要は減少傾向にある。代わって消費量が増えているのが調理せずに食べられる味付けカズノコだ。

 米国などからの輸入品はショートトン(1ショートトン=約907・18キロ)という単位で扱われる。

みなと新聞本紙2022年12月2日付の記事を掲載