養魚秘録『海を拓く安戸池』(32)~研究機関~
野網 和三郎 著
(32)~研究機関~
かん水養魚事業に対しての、研究機関については、くどいほど今まで述べて来たのであるが、これもこの道の将来のためにと、目をつぶって申した事であるから了とされるようお願いしておく。ただここで研究体制について、一言いって置きたいのは、ハマチ養魚の普及に伴い、先年来より、男女群島、その他で鰤の天然卵の孵化研究について長崎大学、九州大学、近畿大学、それに大洋漁業が一枚加わって、研究が押し進められているということは、大変結構だと思っているが、側目から見て、も少し相互の連携を密にして、抜けがけの功名といった気持ちをふり切って、総合の努力で早く成果を上げて、養魚の種魚が人工で賄える域に達するよう、大乗の精神を発揮して貰いたいと思うもので、同じ研究をするにしても、相互の連携が密になればなるほど、お互いの無駄足も、時間も、予算も、空費することなくなお成功したものについては総合研究機関の成果として、発表されるよう希望して止まない。