【歌舞伎鳩:番外編】法界坊(十二月シネマ歌舞伎)
法界坊
天町法界坊:中村 勘三郎
道具屋甚三郎:中村 芝翫
永楽屋手代要助・吉田宿位之助松若:中村 勘九郎
花園息女野分姫:中村 七之助
仲居おかん・淡路七郎女房早枝:中村 歌女之丞
山崎屋勘十郎:笹野 高史
番頭正八:片岡 亀蔵
永楽屋権左衛門:坂東 彌十郎
永楽屋娘お組:中村 扇雀
エンターテイメント感が強くケラケラ笑っていたので、そこまで深い感想はないです。
ただただめちゃくちゃ面白かった。途中で休憩があったのですが、上演時間の長さを感じさせない面白さ。どんどん芝居の中に引き込まれていき、声を漏らして笑ってしまいそうになるほど、求心力がありました。
序盤からお腹抱えて笑ってたのですが、話が展開していくあたりで、当然のようにあの面が割れて血塗れになるあの仕掛けなどが出てきて、冷や水を浴びさられたようにもなった。緩急の付け方がすごい。
・要助の許嫁が一番なんの罪もなく、かわいそうに……となった。しかし要助はなんでそう簡単に他に恋人作ってるんですか?
・許嫁と法界坊、半々の幽霊の異様な雰囲気がとても気味が悪く、良かった。
・中村座の仕掛けのことを知らなかったので、単純にすごい!となり、あれは体験したい。あんまりよくわかっていないがあの移動式小屋は全国津々浦々を巡っているということですよね? つぎ東京に戻ってくるのはいつになるんだろうね……。というかあんなの、お切符取れるんですか?
最近ようやくこの中村屋さんの家族構成(?)がわかったのですが、劇中で、勘三郎さん(父)が、勘九郎さん(長男)に「だから習字習っとけって言ったんだ!」など言っており、これ本当に言われていたのだろうなと思いおかしかった。役柄的にか、勘九郎さんがなんとも言えない微笑みで控えているのがまた笑いを誘う。
また以前、近くに座っていたおばさま方が、「(中村勘三郎さんが)いなくなって寂しいねえ、もう一度会いたいねえ」みたいなことを言っているのを聞いたことがあって、印象に残っていたのだけれども、この映画を見て愛されていた理屈がわかったというか、稀有な役者さんだったのだろうなと思った。
お客さんにわあわあ言いながらアドリブで観客の心を掴みに行って、なんなら役者まで笑わせてる。瞬発力というか、機転の利き方がすごい。
籠釣瓶花街酔醒の次郎左衛門の印象が強かったので、こう隅々まで駆け回ってお客さんをめいっぱい笑わせ楽しませているのを初めて見て、この法界坊と次郎左衛門、どちらのお役でも観客を惹きつけるからこそ、たくさんの人に愛されていたのだろうなあと思いました。
そういえば2月歌舞伎座で籠釣瓶がかかりますね。早々お切符を取りましたから、今から楽しみ。