SaaS営業の最強武器!顧客成功事例の「ストーリー・テリング」
"セールスフォースって、トーク上手が多い.."
自分がセールスフォースに入って、色々な方のお話を伺う中で、一番最初に思った感想でした。「営業の人が多いから、そりゃそうでしょ。」って思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実はそれだけではありません。セールスフォースでは「ストーリー」は企業文化であり、営業のみならず、多大なる教育、並びにコンテンツ作成の投資をしています。
この「ストーリーの重要性」について、創業者であるマーク・ベニオフは、次のように語っています。
"ストーリーは、セールスフォースにおける通貨です。
お客様の生きたストーリーこそが、私たちの成功の度合いを測り、伝えることができるものです。そして、ストーリーはお客様のみならず、私たち自身(セールスフォースの社員)の意欲をかき立てるものでもあります。"
今回は、なぜそもそもストーリーが重要なのか、そして、SaaS営業の最強の武器であるストーリー=顧客の成功事例の効果的な伝え方について、エッセンスをお伝えしたいと思います。
なぜストーリーが重要なのか?
端的に結論から言うと、ファクトや数字よりも、「ストーリー」を共有する方が、顧客の購買の意思決定を促すことができるからです。
少し理論的な話ですが、スタンフォード大学の脳科学の研究によれば、ストーリーは単純なファクトや数字よりも最大 22 倍も覚えやすい、という研究結果が出ています。よりビジネス的に、ハーバード・ビジネススクール発表の論文「理論やデータがすべてではない:「感情に訴える営業」の重要性」)においても、購買の意思決定には情緒的な判断(右脳)が重要であり、その意思決定を促す最良の方法は、「顧客の生きたストーリー(≒顧客の成功事例)を共有すること」だと語っています。
これは、以前の私のブログにも書いた、SaaS営業において、感情に訴える右脳的な営業スタイルも重要であることにもつながります。また、最近少し話題になった、元BCGパートナーの内田和成氏の著書、右脳思考-ロジカルシンキングの限界を超える観・感・勘のススメでも近い話はあります。
余談ですが、私も戦略コンサル・ファームBCGにいた時代を振り返ると、最上職であるパートナーの方々は、頭脳の優秀さはもちろん。すべからく、顧客である大企業の経営陣のハートをつかめる、優れたストーリー・テラーであったように思います。
ストーリー・テリングの基本テクニック
ではストーリーをどのように話せば、効果的なのでしょうか?まずは、SaaS営業の方が意識すべき、ストーリー・テリングの基本的なテクニック2つを紹介します。
【ストーリー・テリングの基本テクニック】
テクニック1. 右脳→左脳→右脳で、ゴールイメージを植え付ける
テクニック2. Why?→How?→What?で、行動を促す
1つ目は、右脳→左脳→右脳の順で、顧客にゴールイメージを植え付けるというテクニックです。ただ、機能や特長を伝えるだけでは、SaaSは非常に売りにくいプロダクトです。顧客が「どうなっていたいのか?」「プロダクトを通して、どういう世界を実現できるのか?」という、ゴールイメージがとても重要です。このゴールイメージを効果的に顧客に持ってもらうためには、以下のシンプルなステップが効果的です。
ステップ1: 右脳でゴールイメージを持たせる材料(動画等)を提示する
ステップ2: そのイメージの裏付けを、左脳で論理的に説明する
ステップ3: ダメ押しで最後にもう一度、ゴールのイメージを右脳に訴求する
2つ目は、TEDでも良く知られている、サイモン・シネックのWhy?→How?→What?の順で、行動を促すというテクニックです。簡単に言うと、人は「何を?」では無く、「なぜ?」に動かされるため、この順序でのストーリーが効果的というテクニックです。(リンクの動画で解説されているので、ここでは詳細は割愛します。)
SaaSの成功事例を話す6つステップ
この2つのテクニック(右脳/左脳、Why?)を考えた場合、最良の営業材料となるのが、顧客の「成功事例」です。セールスフォースのHPやYouTubeを検索すると、顧客の成功事例が大量に出ています。(以下は陣屋さんの例)
では、この成功事例をSaaSの営業は、どう効果的に話したらよいのでしょうか?セールスフォースで使われている、6つのステップを紹介します。
【SaaSの成功事例を話す6つステップ】
1. 事例の最大の特徴:顧客を最も引き付けるシンプルなメッセージ
↓
2. 顧客企業の概要:規模とビジネスの内容
↓
3. 顧客企業の課題:顧客ビジネスの出血状況
↓
4. 自社サービスの選定理由:なぜ選ばれたのか?
↓
5.導入効果:当初の課題がしっかり解決されていること+定量効果
↓
6. 追加のダメ押し効果:想定外の効果、更に良かったこと
具体例で説明させて頂くと以下のようなイメージです。
セールスフォースの事例紹介を見て頂くと、同じようなステップで書かれているので、トーク・スクリプトを作る際には参照頂ければ幸いです。
その他の関連したTipsも、ご参考までに。
・苦労した課題(3)の話は長く、成功した話(5&6)は短く話す
・SaaS営業は、最低5つの事例を深く説明できるようにしておく
・社内のロールプレイで練習は欠かせない
※Salesforceユーザーの方へ:Trailhead「ストーリーテリングとコミュニケーション」では、詳細に説明されてるので参照ください。
※ Photo credit: Getty images, Salesforce.com HP
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