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皆本
2014年12月8日 22:39
「クリスマスプレゼント、何がいい?」「……わがいい」 ぽつりと呟くように彼女は言った。よく聞こえなくて、わたしが先を促すように視線を向けると、彼女は薄く口を開くように微笑んでから、ほっそりとした、胸の奥に染み込むような声を流した。「……柱に繋がれて、冷たい床に座らされて、貴女は私の前で椅子に座って、ストッキングを脱いで、それから足を組んで、その足先を私のほうに向けて……」 わたしは彼女から
Y.田中 崖
2014年12月16日 22:59
「そうだ、海、行こう」 朝の満員電車の中で私がつぶやくと、京都かよ、とサタにつっこまれた。 今日の天気は雨で、列車の中はいつもより人が多い。ふだんかろうじて保たれているパーソナルスペースは今やゼロで、私たちはぴったりくっついている。温かいけど窮屈だ。窓ガラスが曇って、流れゆく街が水槽の中に沈んでいるようだった。水槽に閉じこめられてるのは私たちのほうか。口をぱくぱくさせる魚たち。酸欠になってしま