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【読書日記】ミステリという勿れ

「ミステリと言う勿れ」最新刊が出た。
フジテレビでのドラマ化が決まり、CMもよく見かけるので人気なのだろうなと思うけれど、私は田村さんといえば、「BASARA」「7SEEDS」の方が好きだ。
これらは超大作で、実写化されることはなかった。日本の実写化予算では到底無理だろうなと思う、壮大な話だったもの。

「BASARA」

「BASARA」は地球に天変地異が起きたのか、文明が滅びたあと遥かのち、新たに文明が起き、しかし、まだまだ政情不安定な中、日本が統一されていく話(日本らしきところ?)、といった設定で、日本史でいえば戦国時代?いや、幕末?のようはイメージ。国王が一応支配しているものの、残虐非道な国王で、国民はそれぞれに苦しめられている。大体中国地方ぐらいの場所で、タタラが運命の少年として生まれる。彼はやがて、平和をもたらすだろうと予言された。同じ頃、同じ場所で同じく赤の王と呼ばれる少年もまた王家に災いをもたらすもの、と予言をされる中産まれる。彼は残虐非道ながら、人々を強い力で惹きつけ、力強いリーダーシップと斬新なアイデアで、中国地方一帯を活気付けていた。
タタラの双子の妹として生まれた更紗は、兄を助けながら、砂漠の村で皆と助け合いながら暮らしていたが、ある日、運命の少年なるものを嫌った赤の王の軍が村を襲い、タタラは殺されてしまう。絶望する村人たちを前に「タタラ」として立ち上がる更紗。
その小さな体に人々の希望が全てのし掛かる。
兄や父の仇を討つために。
囚われた村人たちを救うために。
更紗は立ち上がる。

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やがて、更紗はタタラとして、国王に立ち向かう一大勢力を統べる者として成長していく、というそれはそれは壮大なストーリーで、そのストーリー展開も心惹かれるのだが、一方で赤の王と更紗はお互いに自分たちが何者か知らずに出会い恋に落ちてしまう、という悲恋も同時に描かれる。赤の王、朱里がまた自身の生い立ちゆえか、気性の激しい性格なのだけれど、同時に悲哀に満ち、優しさも持ち合わせていて、実に魅力的なのだ。出てくるサイドのキャラクターたちも魅力的な人が多く、それぞれの生い立ちも、物語も描かれていて、「私は揚羽かな」「いやいや浅葱も捨てがたいよね」なんて気持ちになる。愛すべきたくさんのキャラクターとやがて国王を倒すまでのストーリーが緻密に組まれていて、全部で30巻ほどあるけれど、途中ダレることなく、読み切ることができる。

7SEEDS

ノアの方舟計画、というのはよく映画で見るけれど、まさにそれで、地球が滅亡するその時に政府の極秘プロジェクトで行われた7SEEdS計画。ある朝、目が覚めたらそこは自分が知っている日常ではなく、荒れ果てた世界。文明はどこにも見当たらず家族もいない。知らない同い年ぐらいの子が自分以外に数人。それと大人が一人。大体17歳ぐらいの少年少女たちだけ。食べ物もなく、携帯も車も暖かいご飯も何もない。それでも生きていくために順応していかなければならない。訳も分からないまま、生きるために食べ物を探し、住む場所を探して行く。やがて、それは地球が滅亡する時に、人類の子孫を残すため、選ばれ、未来に送られた少年少女たちだと判明する。彼らは無事生き延びることができるのか…。

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これまた壮大で、始め引きこもりの少女だったナツの目線で始まる物語。目が覚めたら荒れ狂う海の中。鈍臭くて、人と接するのも苦手。生きることもままならない彼女が迷い傷つきながら徐々に強くなっていく。一方で、花という運動神経がよく明るく美人で活発な女の子目線からも描かれる。実は何グループかに分かれて、それぞれ違う場所で目覚めさられていて、ナツのグループにいる嵐という青年と花は元々恋人同士だったのだが、お互いの生存を知らずに目覚めたら「ここはどこ」「なぜ」「一体どうなっている」「花は死んだのか」「嵐は死んだのか」「世界はどうなったの」という状態。それぞれに違う場所で目覚めた少年少女たちがやがて一同に会していく中で、これがまた複雑に人間関係が絡み、また国家プロジェクトの全貌も明らかになっていく、その悲喜交々も丁寧に描かれていて、これもまたすごいなあと。

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田村由美さんの漫画で好きなのは少年漫画並みの「熱いセリフ」。個人的に。生きるとか死ぬとかそういう世界で描かれているので、登場人物たちの熱量もその勢いで押し寄せる。個人的にはそういうシーンが好き。何度目頭が熱くなることか。

ミステリと言う勿れ

この流れからきての「ミステリと言う勿れ」は、理屈っぽく細かいことに気がつく一見ぼっとした感じの大学生が、色々事件に巻き込まれて解決してしまう、という内容で、これまでの田村さんからすると、「こうきたかー」と言う意外な展開。これはこれで面白いけれど。
整くん(主人公)役が菅田将暉ということもあり、見ることは間違いないのだけれど、田村由美さん好きとしては、「BASARA」と「7SEED S」をどうしても語りたかった…

とはいえ、「ミステリと言う勿れ」もまだ9巻。これからまだまだ展開が楽しみではある。何年か後にはこれも「お気に入り」になっているかもしれない。

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朝月広海
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