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【読書日記】リーチ先生
「リーチ先生」原田マハ
実母が原田マハにハマっているようで、実家に帰ると原田マハを手にして帰ってくる…
こちらは、あまり心に響かず、若干流し読みだったけれど。
というのも、おそらく、これまで読んだ原田マハさんの美術系創作小説の中で
こちらは、比較的のんびりというか、
おがやか、というか、ミステリー要素が少なめだったからかもしれない。
これまで読んだ「楽園のカンヴァス」や「暗幕のゲルニカ」「異邦人」のような
劇的な展開があまりない。
「なになに?!どういうこと!?」
「一体どうなってるの!?」という展開の仕方ではないのだ。
戦後の大分県のある陶芸を生業とする村に、沖高市という少年が
陶芸を学ぶために弟子入りしている。
そこに有名な「リーチ先生」がやってくる。
イギリス人の有名な陶芸家だ。
自分も「リーチ先生」のそばで、いつもは直に学ぶことのできない
陶芸を学ぶことができるかもしれない…
そう期待に胸を膨らませながら側にいると、
リーチ先生が高市に尋ねる。
「君はもしかしてカメちゃんの息子ではないですか?」と。
美術館にはたまーに行くけれど、あまり詳しくないので、
原田さんの小説はとっかかりとしてすごくいい。
バーナード・リーチさんも私、存じ上げず。
バーナード・リーチさんとは、
日本文化に惚れ込み、日本へ来て暮らし、
日本の美術、陶芸に造詣が深く、柳宗悦や武者小路実篤、志賀直哉らと
交流があったよう。
その彼に、日本人の助手がいて…というところが
おそらくフィクションで、
その彼が、リーチ先生のそばで、
リーチ先生の苦悩を見ながら、
自身も陶芸家として大成すべく
苦悩していく…と言ったようなあらすじ。
のどかな田舎の空気に始まり、
穏やかな性格のリーチ先生。
そして、彼を慕う青年、沖亀乃介。
物語の中で、
リーチ先生らが言う。
有名な美術品ばかりが芸術なのではない、と。
「名も無い職人が手がける器や日用品に、とてつもなくいいものがある。
それは、日本とイギリス、双方に共通しているもので…ひと言で表せば…
そうだな、『民衆の中の芸術』…とでもいうのだろうか」
そういうものこそ、大切にしたい、と。
この気持ちを大切にしたいからこそ、
田舎の風景から始まり、物語の中心は無名なカメちゃんだったのだろう、と思う。
芸術や美術のことはわからないけれど、
原田さんの小説を読むと、
少しその世界を垣間見ることができるということが、
私にとっての楽しみだ。
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