多治速比売神社 ~ニュータウンの片隅にあった歴史あるパワースポット~
昨日は荒山公園の梅林に咲き誇る梅の記事でしたが、あの公園はもともとあるパワースポット(神社)の敷地だったものでした。それは多治速比売(たじはやひめ)神社です。
荒山宮(こうぜんのみや)ともいわれているこの神社は、西暦580年創建と非常に古いもの。泉北ニュータウンを造成する際に、広大な社有地を売却しています。そこには住宅と、この神社を囲むように整備された荒山公園が出来ました。
泉が丘駅を降りてしばらく歩いたところの風景。泉北に限らずニュータウンは昭和の高度経済成長のころに作られた「未来都市」のようなものです。丘を切り開いて、計画的に作られたコンクリートの住宅街。切り裂くように通じている高速鉄道とその側面には快適に走れる道路があります。
しかし昭和の未来都市も、令和の現在からすれば過去のもの。泉北ニュータウンは1965年にできたそうなので、もう半世紀以上も古い街なんですね。
しかしそんな昭和の未来都市「ニュータウン」でも、泉北地域では一部の場所に昔ながらのものが存在。多治速比売神社はその代表格です。
梅林で梅を愛でてからそのまま歩いていくと、隣接するように神社の入り口がありました。せっかくなので中に入ってみます。
説明版にも書いていますが、和泉国大鳥郡の式内社で、第28代宣化天皇(せんかてんのう)の時代に創建。
また972(延長5)年にまとめられた全国の神社一覧「延喜式神名帳(えんぎしき じんみょうちょう)」にも登場します。
主祭神は、 多治速比売命(たじはやひめのみこと)で、比売神(ひめかみ)とという神道の女神とありました。
さらに調べると、タジハヤヒメは橘姫命で、日本武尊(やまとたけるのみこと)の妻・弟橘媛(おとたちばなひめ)との情報があります。しかしただし別の説もあって、はっきりはわかりません。
そのほか素戔嗚命(すさのおのみこと)と菅原道真も合祀神として祀られています。
案内図を見ると「福石社」とありました。福石大神を祀っているそうです。
これは一緒に祀られている菅原道真かと思いましたが違います。故・吉田民蔵宮司の像で、ときの衆議院議長・松田竹千代 書とありました。
この松田という人は大阪府泉南郡出身で、衆議院議長になったのが1969年となっていました。ひょっとしたら泉北ニュータウンのために宮司が土地を売却したことに対するお礼の像なのでしょうか。
こちらは稲荷社。このほかにも伊勢神宮遥拝所、住吉社、天照社、八幡社、熊野社、白山社、春日社など小さな摂社が境内に数多くあります。
こちらが拝殿です。この奥に本殿があってそれは室町時代に再建されたもので国の重要文化財。しかし囲まれたところにあるのでうまく撮影ができませんでした。
代わりに境内案内図の画像から切り取った本殿の写真を乗せます。
御神籤や石碑が並んでいる所にも梅の木が。菅原道真と梅とのかかわりがあるので、荒山公園に梅林がある理由がうなづけます。
こちらも石碑が。うしろにあるのは弁天社です。
梅の花が咲いていました。梅林と違い借景に神社の建物があるとまた違った風情がありますね。
今回は脇参道からはいりましたが、こちらが正面の表参道に続く道です。人工的なイメージの強いニュータウンの中に、こんな歴史と由緒ある所があるとは今まで想像すらしていません。大変勉強になりました。
多治速比売神社
住所:大阪府堺市南区宮山台2丁3番1号
電話:072-297‐0726
アクセス:泉ヶ丘駅からバスで宮山台2丁下車