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カレーをぐちゃぐちゃに混ぜながら
今日はテンションが上がらない。
身体にまとわりつく暑さのせいなのか、上下そろってない下着のせいなのか、右下の唇にできた口内炎のせいなのか、生理前特有のPMSのせいなのか。
全部が絶妙に混ざり合って、まったくテンションが上がらない。
早く家に帰って、冷房をガンガンに効かせた部屋で服を脱ぎ捨ててしまいたいのに、こういう日に限ってバスがなかなか来ないもんだから
まったくもってテンションが上がらないどころか急降下である。
*
あまりにバスがこないので、なんとなく周りを見渡す。
目の前に座っている女子高生は、さかむけを剥きながら何を考えているのだろう。
もしかしたら、大好きな彼に送るメッセージを一生懸命考えているのかもしれない。
ふと通り過ぎた親子連れは、無言で手をつなぎながら会話を交わさず歩いて行った。
母親は今日の晩御飯でも、間に挟まれた男の子はアニメの続きでも、父親は仕事での出来事を思いながら歩いているのだろうか。
言葉や表情には見えないけど、それぞれが思い思いに何かを抱えたり、考えたりしてるのだろうか。
それとも何も考えず、頭を空っぽにして、ただひたすらに進んでいるのだろうか。
そしてまた、わたしも、ほかの人の目から見たら同じように映っているのだろうか、なんて。
そう思うと、きっとこの中にも、いろんなもん抱えながら、表に出さないようになんともない顔でバスを待ってる人がいるんだろうなー。
そんなことを思っていると、ようやくバスがきたので乗り込んだ。
*
涼しい車内でやっと落ち着いたら、なんだかカレーが食べたくなった。
今日はもう、コンビニでいいや。
こんな日にちょっと手抜きをしたところで、誰にも怒られはしないし、バチも当たらない。
それに今日は、ご飯を作ったって「おいしい」って一緒に食べてくれる彼もいない。
*
帰宅してすぐにエアコンのスイッチに直行する。
コンビニで買ってきたカレーをレンジに入れる。
500Wで4分。
その間に、そろっていない下着のブラジャーを脱ぎ捨て、部屋着のジャージに着替える。
冷蔵庫をあけると、温泉卵を作るはずっだたのに固まりすぎてできたゆで卵が残っていたから、カレーにトッピングしようと決めた。
彼の前ではぜったいしないけど、今日はカレーとご飯をぐちゃぐちゃに混ぜる。
せっかくきれいに分かれていたルゥとご飯が全部茶色になる。
カレーのぐちゃぐちゃとは反対に、わたしの頭の中はちょっとスッキリ。
できたぐちゃまぜカレーを食べながら、
「こういう日に彼が一緒だったら、行き場のない、このモヤモヤを共有できるのに」
と、ちょっとしたさみしさを覚えた。
そんなさみしさを抱えながら、今日もただただnoteを書いている。