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屋内、屋外の違いとウィール(車輪)その1

 新型コロナウイルスのおかげで、世の中はすっかり変わってしまったが。いろいろな制約が多い生活を強いられる中、たった1人きりだったとしても、どこにも行けなくても、自宅周辺で気軽に楽しめるローラースケートは、世界中で需要が増えているらしい。アイススケート場が閉鎖になって滑れないので、ちょっと似た動きのできるインラインスケート(ローラーブレードは商品名)に手を出す人も増えているとか。

 でも本当にアイススケートに似た動きをしようと思ったら、実はアスファルトやコンクリートの上ではちょっと難しいのだ。アーティスティック・ローラースケートをやっている人たちは、普段は体育館のような場所か、ローラースケート専用のリンクといった、屋内で滑っている。滑りすぎず、グリップがききすぎず、凹凸が全くない床でなければ、あんな動きをするには危なくてしょうがないのである。しかも屋外には石や砂利が落ちていることが多いが、これに硬いウィール(車輪)が当たれば、カツーン!と急激にウィールの回転が止まり、体が投げ出されて転んでしまう。地面の数ミリの段差でも同じだ。だから、屋外で安全に滑るためには、柔らかくて大きめのウィールを使って衝撃を和らげなければならないし、できるだけ片足ではなく両足で滑ることになる。そうなると、どうしても動きが制限されてしまうのだ。

 ロックダウン状態がしばらく続いた私の住む街でも、3月の終わりごろから7月中旬まで、普段の練習場が閉鎖されてしまった。しかたないので、屋外用のウィールを購入して近所で滑ってみることにした。

 だけどこれが、慣れないから怖いのなんのって。屋外でローラースケートで滑ってみると、普段は気づかないほどの地面の凸凹や砂利、木の実や木の枝がみーんな障害物になるのである。しかも歩道は段差だらけ。ホッケーやローラーダービーの方々を真似て腰を低めにして滑りながら、早く普段の練習場に戻りたいよー!とばかり考えていた。自分からガンガン障害物にチャレンジしていく(しかも段差なんてレベルではなく手すりに乗っちゃったりする)アグレッシブ・ローラースケートの人たちって、いやもう本当にすごい。尊敬しかない。


ローラースケート(クワッド、4輪)の

ウィール(車輪)の選び方

 ローラースケートに関することは、残念ながら発信している人が極端に少ないので、情報収集に苦労することが多い。私自身もまだまだ勉強中だけれど、これから私なりに発信することが少しでも誰かの役に立てたり、ローラースケートに興味を持ってもらうきっかけになればいいな、と思う。

 というわけで、今回はウィールの選び方。ローラースケートを買った時、最初についていたウィールはどんなものだったのか?買い替えるならどんなものを買えばいいのか?そんな時に考えなくてはならないのが、硬度、直径、幅、リップなのだ。

 まず最初に、屋内用なのか屋外用なのかを考える。初心者の間は兼用しても良いが、本格的に滑り始めると使いづらくなってくるはずだ。基本的に、ウィールは用途によって付け替えるものであり、屋外用と屋内用のウィールは分けた方が良い。特にアーティスティック用の屋内ウィールでは、屋外で滑らないこと。屋内用のウィールは痛みやすいし、何より屋外で屋内用の硬いウィールを使えばつまずきやすく危ない。屋外、屋内でウィールを毎回つけ替えるのが面倒な人は、2足用意してそれぞれ屋内専用、屋外専用にすると良い。私もそうしている。

 本格的に滑るようになると、屋内用でもダンス用、フィギュア用……などの用途や、その日のその場所の床や地面のコンディションによってウィールを付け替えるようになる。本格的なローラースケート選手のスケートバッグの中には、ずらっとさまざまなウィールが揃っていて圧巻だ。


硬度

 ウィールの硬さ(硬度)は、数字が小さいほど柔らかく、大きいほど硬くなる。柔らかいウィールほどゴムのように弾力があって衝撃を抑え、地面にくっついてグリップがきく。硬いウィールはグリップ力が弱いので、地面との摩擦が少なくスピンやターンがしやすくなり、スピードも出る。屋外で滑りたい人は、一般的なポリウレタン製なら78A~89Aくらいまでのウィールを選ぶといいと思う。屋内で滑るなら、用途にもよるけれど、だいたい90A~103A。初心者で迷ったら、屋外、屋内のそれぞれの数字のなかで、柔らかめ(低めの数字)を選んでおくと間違いないはず。上級者ほど、動きに反応しやすい硬めのウィールを選ぶといい。屋内でニスがべたつくような柔らかい床の場合は硬めのウィールを選び、つるつるしすぎて硬くスリップしやすい床の場合は柔らかめのウィールを選ぶ。

直径

 ウィールの大きさ(高さ、口径)は、大きいほど衝撃を吸収し、スピードを出しやすい。小さいほど小回りがきく。アーティスティックの人ならフリースタイルの場合は45mm~57㎜、フィギュア(図形)やダンスは63mm。ダービーの人なら57mm~62mm。屋外で滑りたいなら57mm~70mm。

 ウィールの幅は、太ければ地面との接地面が増え、グリップがきいて安定する。細いウィールほど、グリップがきかずに安定感がないが、その代わりに軽く素早く動くことが可能になる。用途にもよるが、初心者なら44mmか38mm。中級者で38mmか35mm。上級者なら35mmか31mmくらいを選ぶといいはず。アーティスティックなどの軽やかな動きには細めを選び、スピードを出すには太めを選ぶ。

リップ

 その他にも「リップ」と呼ばれる、車輪の両端がカクっとシャープに直角に近い形なっている「スクエア・リップ」か、丸みを持っている「ラウンド・リップ」かという選択肢がある。ミスドのドーナツに例えるなら、フレンチクルーラー型のスクエア・リップか、ハニーディップ型のエッジが丸いラウンド・リップか、といったところ。スクエア・リップほど接地面が増えてエッジのグリップがきくようになる。アーティスティックなどで深いエッジに乗って滑る場合には、こちらのタイプを使うといい。ラウンド・リップは、深いエッジワークがあまり必要ではなく、小石など障害物の多い屋外向き。


 その2に続く。


追記:アーティスティックでのウィールの大きさ(直径)の目安を変更しました。

追記その2:屋内用、屋外用を使い分ける必要があることを追加しました。


Twitterでもローラースケートについてつぶやいてます。





 


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