1940年代、人々が第二次世界対戦に翻弄されていたことは歴史の教科書で誰もが学んだことだろうが、その渦中、特にヨーロッパで各国の諜報部員が暗躍していたことはご存知だろうか。それを裏付けるように、現在では1940年代を背景としたスパイ映画が数多く存在する。 それらスパイ映画のある一場面を想像していただきたい。スパイとそのクライアントが町外れのバーで密会し、秘かに情報交換をしている場面である。この場面においてのバーの設定というのは、客がたくさんいて騒いでいる所というよりは、物静
人間の舌というの繊細だとつくづく思う。同じ液体を口に含んだとしても、液体が体温に近い温度なら甘味を強く感じ、高ければ旨味、低くなれば苦味や塩辛さが増してくる。個人差はあるものの人の舌はそんな風にできている。筆者がバーに足繁く通ってしまう理由の1つはこれである。 最近はストレートのウイスキーやブランデーをよく嗜む。注がれた瞬間の冷えた洋酒の味や香りを楽しんだ後、そこからの温度変化での味の変遷を楽しむのである。馴染みのバーテンダーと何気ない会話をしている間にグラスは常温に、そし