酒と体温

人間の舌というの繊細だとつくづく思う。同じ液体を口に含んだとしても、液体が体温に近い温度なら甘味を強く感じ、高ければ旨味、低くなれば苦味や塩辛さが増してくる。個人差はあるものの人の舌はそんな風にできている。筆者がバーに足繁く通ってしまう理由の1つはこれである。

最近はストレートのウイスキーやブランデーをよく嗜む。注がれた瞬間の冷えた洋酒の味や香りを楽しんだ後、そこからの温度変化での味の変遷を楽しむのである。馴染みのバーテンダーと何気ない会話をしている間にグラスは常温に、そして手で温めることでお酒は体温に近くなる。グラスに注がれた瞬間から体温になるまで1~2時間かかるが、その時間が至福なのである。

また、よく人から「好きなお酒は?」と尋ねられるが、答えとして専ら「舌で転がせるお酒」と答える。これは言い換えると、舌の上で液体を転がした時の温度変化によって味の変遷を楽しめるお酒ということになる。液体濃度が高い方が味の変遷を感じやすいことは誰にでも想像は容易いと思う。それゆえ、筆者はどうしても度数の高いお酒に手が伸びてしまう。

お酒と温度は味覚に密接に関係してくることを散々語ったが、味覚というのは個人差がある。それゆえ、お酒の楽しみ方は千差万別である。機会があれば、筆者がどのようにバーでお酒を楽しんでいるか(この記事で言う、至福の1~2時間)を文章に起こそうと思う。興味がある人がいればの話だが…



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