鋭さとあたたかさを含む静かな世界
ハン・ガンさんの作品を読むとこんなイメージや感覚が自分の中に広がる。
鋭さとあたたかさを含む静かな世界
これはあくまで個人的な感想ではあるのだけど。
もしくは、強く美しく儚い。
そして、シンとした張りつめた空気感が漂っている。
でも、根底にはあたたかさが流れている。
だから、わたしはハン・ガンさんの作品を読むと、心が落ち着き同時に寄り添ってもらえている気が勝手にするのだ。
『菜食主義者』
『すべての、白いものたち』
『そっと静かに』
『引き出しに夕方をしまっておいた』
これまでに読んだ作品だ。
他にも多くの作品を出されていて、読みたいものはたくさん控えているけれど、私にとってハン・ガンさんの作品は、次から次へと読みあさるような感じの立ち位置ではない。
導かれるように「あ、今だ!」というタイミングで、ちょうどピッタリの作品を読むことになるのだと思っている。
6月に刊行された『引き出しに夕方をしまっておいた』は発売を心待ちにしていて、これはすぐに読もうと決めていた詩集だった。
一気読みすることはできず、毎晩少しずつ大切に読んでいた。
決して明るいだけのテーマを表現されているわけではなく、どちらかというと、誰もが心の奥に隠し持っている闇だったり、この世の不条理さだったり、絶望感や無常感を表現している詩が多いように感じる。
しかし、そこがたまらなく良いのだ。
良いという便利で陳腐な言葉で片付けたくないなと思い、それに代わる言葉を探しているけど、良いしか思い当たらない。
あー、語彙力涙
淡々と心に染み込み感動する。
そして、ハン・ガンさんの作品に漂う少しひんやりとした世界は、孤独感を感じるけどなぜか心地が良かったりもする。
そこがわたしにとってはツボであって、ハン・ガンさんの詩の魅力の一つになっている。
そして、『引き出しに夕方をしまっておいた』は本自体が素敵なのだ!
白い表紙に小さなブルーからラベンダー色のグラデーションの小窓が描かれていて、この色彩が最高。
そして、表紙カバーをめくってみたら青紫ピンクが目に飛び込んできて、これまた個人的に好みのカラーで、この詩集がより一層好きになる。
物語でも詩でもエッセイでも、感動したりそこに書かれている何かが自分にフィットすれば、もしくは実用書であれば、書かれている内容から情報を得たり勉強できれば、本としてはそれで十分なのかもしれない。
だからこそ本の中身も外側も自分好みのものに出会えると、凄く嬉しくなってしまう。
紙の本が持つ魅力には抗えないし、そのうえ装丁とかデザインが素敵だと、より宝物感が増す気がする。
さて。
いつ来るかわからない次回のハン・ガン作品を読むタイミング。
一応読みたい本は決まっているんだけど、そのタイミングをじっくりと待つことにしよう。
案外すぐに来るのかもしれないけど笑