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その旅人は、はるか西方から二ヶ月間も歩き続けて、ようやくこの街に辿り着いた。 歩み…
信じられないことだけれど、僕のおじいちゃんは段々若返っていく体質らしい。 生まれた時…
大学の外階段の、踊り場にある喫煙所で私は煙草をふかしていた。本当は自販機に飲み物を買い…
引越しのために部屋の整理をしていたら、クローゼットの奥から昔使っていたカバンが出てきた…
前話はこちら * 靴を履き替えるころには、辺りはすっかり暗くなっていた。 昇降口から…
前話はこちら * 俺たちは他愛の無い話を続ける。 その間も三村のピアノは、言葉に色を…
前話はこちら * 俺たちしか居ないせいで、夕暮れの音楽室はやけに広く感じて、その代わりに、隅々までピアノの音が充満しているみたいだった。 赤く染まる音楽室の姿は、見慣れていないせいかなんとなく違和感があって、三年間通ったこの学校にも、まだまだ知らないことがあるんだと実感する。そんな新鮮な驚きが、少しくすぐったい。 「……そんなに珍しいもんかねぇ」 落ち着きなく視線を動かしていると、呆れ声が降ってきた。俺は慌てて、声の主に向き直る。そんなに分かりやすかったのかと思
何もしなくたって、ただ毎日は過ぎる。 気の合う仲間とくだらない話をしたり。試験前に必…
昼休み。屋上へと続く階段には、階下の喧騒が遠く聴こえている。 わたしのすぐ隣。階段に…
気が付くと、教室にはもう自分しかいなかった。 クラスのみんなは明日からの夏休みが待…