これは枡?枡じゃない?COBITSU(こびつ)に込められたデザインのこだわり語り〼
全4回で誕生までの裏側全てをお話してきた、まるで炊きたてみたいにご飯を冷解凍できる枡のおひつ、COBITSU。
ここからは完成したCOBITSUの魅力についてご紹介していきます。
COBITSUは、枡のおひつと言いながら、従来の枡とはちょっと違う形をしています。
そこで今日は、枡と呼べるのかどうか、工芸品としての美しさやデザインのこだわりにフォーカスしながら見ていきたいと思います。
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「食べやすさ」と「収納性」のためのオベリスク形状
枡と言えば水平垂直が美しい直方体。それに対してCOBITSUは、上に行くほど広がる「オベリスク形状」が特徴です。
COBITSUと一般的な一合枡との比較
これは決して奇をてらったわけではなく、食べる際は器として自然に持ちやすくて箸を入れやすい、収納時にはスタッキングもできる形状として、必然的にたどり着いた均衡点でした。
冷凍庫に収納する際は上下を逆さにしてやると、まるで積み木のように組み合わせることができ、少しでも庫内のスペースを有効に活用することができます。
計量器だった頃の枡の記憶、弦鉄のモチーフ
しっかりとふたを締めるシリコンバンドと、内部にぴったりと収納できるお手入れ用の木べらは、「〼」の漢字の斜め線が示している「弦鉄」がモチーフ。
弦鉄とは、枡がお米の計量器として使われていた頃、擦り切る際に上面をえぐって量を少なくごまかすことができないように取り付けられていたガイドのことです。
そんな枡の持つ千年以上に渡る歴史と伝統を、実用的な要素の中にあしらいました。
内部形状にぴったりと合う木べら
COBITSUの隅に入り込んだ米つぶのお手入れ用に同梱される木べら。対角線上にぴったり収まるだけでなく、木べらの先もCOBITSU内部の形状にぴったり合わせて緻密に計算した角度で構成しています。実際にあてがっていただくと、気持ちいいまでにフィットするのを体感していただけるはずです。
匠の技、鉋(かんな)がけ
大橋量器さんの枡の仕上げの命とも言えるのは鉋(かんな)がけ。
あられ組という、凸凹状にホゾを掘って組み合わせる構造は枡の大きな特徴の一つです。その組み合わさった断面を鋭い鉋で削ることで、美しく面を揃えることを可能にしています。
COBITSUでは蓋と本体の側面をぴったりにするため、蓋と本体を合わせた状態で鉋をかけていることに加え、蓋を閉じるシリコンバンドの通り道となる二角も鉋で削られています。
ここで特筆すべきなのはあられ組部分を削る関係上、中途半端な木目が露呈することを防ぐため、それぞれの側板のあられ組のために掘られているホゾの始点と始点を結ぶラインで削らなければならないことです。それを匠の技によって設計の意図通り削られることで、見事に理想的な断面が実現されています。
桧(ひのき)の木目と炭化した部位とのコントラストが美しい焼印
全ての枡に入っているわけではありませんが、焼きごてで一つ一つ丁寧に入れられた焼印も枡の魅力の1つに違いありません。桧の上品な木目と、高温で炭化した部位とのコントラストにはなんとも言えない美しさがあります。
COBITSUでも、さりげなく裏面に製品ロゴと大橋量器さんの企業ロゴ、そして大変僭越ながら「Designed by minamiji hideya」の文字を刻印していただきました。
枡としてのこだわりは包装・パッケージにまでも
元々枡の簡易包装に使われていたクラフト紙。この紙には、桧から出る天然樹脂成分の脂(やに)を吸収する機能があります。
このクラフト紙に印刷を施して包み込むことで、アイコニックなCOBITSUの形状を活かした、簡素ながら品のあるパッケージを実現すると同時に、実はあまり知られていない"枡らしさ"を受け継ぎました。
※写真の包装は試作段階のものであり、最終製品版ではありません。
COBITSUはやっぱり”枡”である
従来の枡とは見た目も使い方も少し違うCOBITSUですが、実は細部に至るまで枡としての歴史と伝統へのリスペクトとオマージュが込められていたこと、そして職人たちのさらなる技への挑戦によって形になったことをおわかりいただけましたでしょうか。断言します、COBITSUは”枡”です!
そうした背景にも思いを馳せながら、COBITSUを一人でも多くの方にご愛用いただければ、そして願わくば、広くみなさまに受け入れていただけるものになっていくことができれば、デザイナーとしてこの上なく幸せに思います。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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