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剥き出しのナイフひとつで 世界へ立ち向き合うのだ 私達はただ個で孤で唯一 見えるものは自分の世界だ 神すら敵すら自分のもの それは有刺鉄線で守られた まるで柔らかな鳥の巣のよう そこに御座すは天使か悪魔か どちらにもなれる卵がひとつ 子犬の舐めるミルクの匂い 仔猫の鳴き合う甘高い響き 囀る雀のじゃれあいと 羽音煩い蠅の飛び合い 世界はどんどん広がってゆく Z軸を超え軸を増やし 私が歩むスピードより速く 勝手にその裾を広げてゆく 天使か 悪魔か 神か 敵か 私が出会う者
私は私である 私はあなたではない 私は君ではない 私は私でしかない 私の喜びを知るものは私だけ 私の楽しみを知るものは私だけ 私の痛みを知るものは私だけ 私の悲しみを知るものは私だけ 私を知っている 私を理解している そんなこと云うやつは嘘つきだ 私は私にしか理解し得ない 私は私にしか心を開かない 私は私にしか 私の心を読めるのは私だけ 私の思考を読めるのは私だけ 神様すらもわからない 私の動力源の思想 私は死を楽しみに生きている 私は死を待ち遠しく生きている 私は死に恋い焦
私は私のことだけを ひたすらに考えていたい 私は私のことですら 半分も理解できていないから この小さな脳みそに残る 自分という不確かな記憶 擦れて掠れて傷んだビデオテープのようだ 再生するたび薄くなってく ひたすら私はそれを見る いや見させられている 夢が私を捉えて離さない 思い出せと 感じろと 眠っている間に見せてくるのだ 楽しかった記憶 悲しかった記憶 もしかしたらの記憶 捏造の記憶 私はわからなくなる どれが私ですか なにが私ですか どこが私ですか 私はここにいる ここ