未無月唯

物書き。

未無月唯

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最近の記事

140字詩集

色 私が私で居続けるためには言葉でこの輪郭を縁取る必要があると思っていた。つまり今言葉の思い浮かばない私は蜃気楼のようなものだ。きっと体は透けて世界が見える。それは私の中が空洞であるというより世界の色が濃すぎるのだ。今はそれが息苦しくてうまく色を見いだせず、言葉を紡げずにいる。 放つ 私の言葉が誰かの発見や共感やナイフやハンカチになるときを私は見ていない。そこに放った言葉の先にあるもの。それは私の手を離れた瞬間どこに飛んだかわからなくなってしまうのだ。だからそこにある

    • 雨の向こう、待つ君へ

      灰色の雲に覆われて そちらはきっと薄暗いでしょう 早く陽の光を届けたいけど 風も今日は泣きたいみたいで 雨雲を連れてこうとしない しょうがないから私はここで 雨雲の隙間の小雨に向けて 差す光を準備しておくよ 虹にはみんなを 笑顔にする力があるから

      • 文学フリマ東京37 お品書き

        お品書きです。 ・初詩集『雨音は乾いた猫の匂いがする』 ・雨猫未収録分『脊椎と雨音』 ・雨猫未収録分暗いもの『ししゅう』 ・VRChatワールド詩集『VRCHAT World Words』 それと無配も作るつもりです。何卒よろしゅう。

        • 雨の夢

          ヘッドホンをはずすと不規則な水の滴る音で世界は満ちていた どおりで肌寒いわけだ 音の激しさにつられるように寒さを強く感じるようになり 私は着替えようと立ち上がった 窓の外が光る 遅れて音がする 電化製品の心配だけして私はパジャマに着替え 子守歌のような雨音に包まれ布団に入った 雨の音 それは産まれる音 雨が生みだした夢を見て、私は眠りに誘われる

        マガジン

        • 雨椎零の朗読会
          4本

        記事

          午前3時の君

          午前3時の君 は まるで死体のようで 口元に手をかざせば微かに息があたるのだけど いびきもかかず寝返りも打たず ただ静かに横たわっている 陶器のように白くて冷たい肌 が 現実感を曖昧にして この光景自体が夢のよう な そんな気がしてくるから 僕はぎゅっと目を瞑っ て 目を覚ますよう 祈った

          午前3時の君

          ◆文学フリマのブース配置が決まりました

          ブース位置が決まりました。 [脊椎と雨音]X-07 です。 既刊とかいろいろ置いてる予定です。無配も作りたいな。 お時間あればぜひお越しください。

          ◆文学フリマのブース配置が決まりました

          余白

          言葉にならない言葉にしない想いが多すぎて余白は真っ黒になってしまった 行間には読めない文字がびっしり詰まっていて まるで砂糖に群がる蟻のようだった 何故言葉にしないのだろう こんなにも感情が渦巻いているのに いや 渦巻いているからこそ言葉にできないのか 私はそっと余白をなぞった

          ナイフ

          あのとき放った言葉が、今でも刺さったまま抜けない。 ナイフは刺さったままの方がいいらしい。抜けばそこから血が溢れてしまうから。 だから抜かない方がいいのかもしれない。抜けばそこから血が流れてしまうから。 だけれどそこに刺さっている限り、私はその言葉を忘れることができない。 だから血が流れることを覚悟して、その言葉を抜くべきなのだろう。 止血はきっとし足りないだろう。きっとしばらく流れ続ける。 だけれど私はそれが怖い。 その言葉を抜くときの痛み。 その言葉を抜いた後の痛み。 そ

          雨椎零の朗読会 まとめ④

          https://x.com/amatsui_rei/status/1659876632704761857?s=20 #雨椎零の朗読会 波形/雨椎零 声:謎の人#朗読 pic.twitter.com/83wCrc7fZF — 雨椎零Ø初詩集『雨音は乾いた猫の匂いがする』発売中 (@amatsui_rei)

          雨椎零の朗読会 まとめ④

          かみなりさま

          地面がひび割れて現れたのは 大きな角の生えた馬 銀蒼色のたてがみを靡かせ いななきながら空へと飛んだ あれはきっと落ちてきた雷様なんだと だから空へと帰っていったんだと そのひび割れは祀られた ああ神様でも故郷を想っていなないたりするのか 私は少し安心した

          かみなりさま

          氷水

          じわり、と、熱が滲む 私はそれを拭い去るように、扇風機の風を強くした 蝕む温度でぼやける頭 からんと氷が音を立てる 温度に蝕まれて小さくなってゆく物体 それと比例して浮き上がる雫 それを指ですくい上げる その雫は氷から温度を受け継いで冷たかった けれど多分その雫は あまりにも純粋で美しい

          午前3時の君

          午前3時の君 は まるで死体のようで 口元に手をかざせば微かに息があたるのだけど いびきもかかず寝返りも打たず ただ静かに横たわっている 陶器のように白くて冷たい肌 が 現実感を曖昧にして この光景自体が夢のよう な そんな気がしてくるから 僕はぎゅっと目を瞑っ て 目を覚ますよう 祈った

          午前3時の君

          雨椎零第一詩集『雨音は乾いた猫の匂いがする』やっと発売となりました

          雨椎零第一詩集『雨音は乾いた猫の匂いがする』やっと発売となりました。 これまで書いていた詩と書きおろしとが載っています。 表紙絵挿絵は『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』『膵臓がこわれたら、少し生きやすくなりました』などの永田カビさん、裏の紹介文は『h-moll』などを書かれている詩人・平川綾真智さんに頂きました。ありがとうございます。 きっとあなたの中に残る言葉があると思います。是非お手に取ってみてください。

          雨椎零第一詩集『雨音は乾いた猫の匂いがする』やっと発売となりました

          連想詩

          こちらの詩集はツイッターで募集したお題を元に詩を書くという企画で書いたものです。   お題:ブルースクリーン   突然目の前が真っ青になった いや 世界そのものが青に染まっていた 文字の羅列が周りを流れてゆく ああ 終わったのか 俺の青写真の最後の光景はあんな滑稽なものだったのか 写真が青い炎で燃えていく 死にゆく自分の人生を 俺は0と1で感じていた お題:とにかく   とにかく話だけでも聞いてくれないか なにしろ君に知っておいて欲しくて なにせ君が好きすぎて自分でも と

          雨椎零の朗読会 まとめ③

          雨椎零の朗読会 まとめ③

          雨椎零の朗読会 まとめ②

          #雨椎零の朗読会 死/雨椎零 声:みとてゃん(@mitoteyanda_yo)#朗読 pic.twitter.com/gLW0mfmKWi

          雨椎零の朗読会 まとめ②