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投資とは未来の地図を描くこと(+11月中旬の日記)
今年からNISA(少額投資非課税制度)が拡充されてセミナーなどでお話をする機会もふえました。ただ、あまりにもNISAが話題になっているせいか、「制度をどう使いこなしたらいいか」、「円安になっていて、これから海外株に投資する投信を買ってもよいのか迷っている」など、制度やタイミングなどに関する質問が多いように感じます。
でも、NISAはあくまでも制度。制度を活用して、何にどう投資するかが大事ですよね。今回は、改めて「投資とは何か?」について、少し考えてみました。皆さんならどう答えますか。
相場・タイミングで判断?
先日、PIVOT公式チャンネル「【緊急討論】奥野一成×エミンユルマズ×藤野英人×窪田朋一郎が米大統領選をプロ目線で斬る」を視聴していたところ、農林中金バリューインベストメンツ(NVIC)CIOの奥野一成さんの以下の言葉がわりと私の考えに近いな、と思いました(22分過ぎから)。
「安いから買って高いから売るというのは(僕の中では)投資ではない。投資というのは自身のバランスシートの形を変えること。(省略)将来のバランスシートをイメージしながら毎日(あるいは毎月)コツコツと買っていくのが投資」
動画内で、「オルカンなどの外国株人気についてどう思うか」「(投資家は)上がったものほど投資したくなる性質がある。(普通のものは安くなると買いたくなるのに)下がった時には買えていない」といった質問・コメントを受けて、でてきたのが上記の奥野さんからのコメントです。
奥野さんは資産をすべて円にベットするのはリスクではないか、といったお話もされていましたが、大事だと思ったのは「投資というのは自身のバランスシートの形を変えること。将来のバランスシートをイメージしてコツコツ買うもの」という部分。
現在のバランスシートを把握
NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)などが話題ですが、主役は制度でも、相場でもなく、「自分」なんですよね。
年末に向けて、ぜひご自身のバランスシートを作って、現状を眺めてみてほしいです。円債資産が多いな、とか、(万一に備える)預貯金があまりないな、とか今の状況がわかるはずです。
現在のバランスシートは、これまで(過去)の自分の考えと行動の結果を表したもの、といえるでしょう。
下図では金融資産のところで商品を記載しています。マネーフォワードなどの家計簿アプリはこの形でバランスシートが表示されることが多いです。全体像をつかむ、という意味ではそれでもよいのですが、できれば「国内株式」「海外株式」「国内債券」「国内不動産」のように、資産クラス(カテゴリー)別にまとめたほうがベターです。
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将来のバランスシートをイメージ
そして、大事なのはその後。将来に向けて、自分はバランスシートの資産の部にどんな金融資産や固定資産を積み上げていきたいのでしょうか。それを考えて、行動していくことが投資なのだと思います。
狭義には、資産の部には金融資産や固定資産が入りますが、お金だけ増えても、老後だれも遊びに行く人がいない、健康を害して遠出できない、というのも寂しいですよね。
健康や家族、交友関係、趣味、社会貢献などなど、金融資産以外にも、長期的に積み上げていきたい資産は何かな、と同時に考えて、行動していくことも大切です。
また、年間収支が単年度でマイナスになるとしても、将来に向けてバランスシートに資産が積み上がるなら、それもよし。長期的な視点で考えることが大切です。
時空を広げる
将来のバランスシートを作っていく上では、入ってくるお金をどう使っていくか、という視点も重要です。金融教育に長年力を入れている、I-Oウェルス・アドバイザーズ会長の岡本和久さんの「時空を広げる」という言葉が私は好きです。
物ごとを考えるときに「時間軸」と「空間軸」を拡大して認識することですが、「今だけ」「自分だけ」から、未来(時間軸)へ、そして自分以外(空間軸)へ広げていく、ということになります。
例えば、いまあるお金を使うのは現在の自分のためです。少し未来の自分のために使おうと考えることが「貯める」ことになり、それは意識の時間軸が延長されたことになります。また、現在の自分が使わないお金をいまお金が必要な人に託すことが「投資」ですが、これは意識の空間軸が拡大されたことを意味します。つまり、お金とどのように付き合うかにおいて、時空意識を拡大することで自分のための行為が他者や社会へと拡大されていく。
投資の方法も同じです。時間軸と空間軸がまったく広がらないのが「投機」ですが、時空意識を広げていくことで「短期・集中投資」「長期・分散投資」そして「人生を通じた資産運用」へと広がっていく。
「資産形成」や投資を始めるのは、自分のためですよね。お金をふやしたい、老後資金を作りたいなど、理由はそれぞれでしょう。
最初はそれでよいと思います。ただ、徐々に、時空を広げていけるとよいですよね。投資も、時空を広げることで、「短期・集中投資」→「長期・分散投資」から「人生を通じた資産運用」にまでたどり着けると、日常生活の中でゆったりと投資と付き合えるようになるのではないでしょうか。
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日記&日々の雑感(11月11日~20日)
ようやく出張も終わりが見えてきた感じです。
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