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旅する漆〜天然塗料「漆」の精製現場①〜
長野県で漆掻きを行う職人の竹内さんに漆の精製について教えていただきました。
ウルシの木から採取したばかりの漆は、余分な水分やホコリなどの不純物が混ざり、そのままでは使えないため精製作業を行います。
ウルシの木に傷をつけると樹液が出てくる。きれいに精製することで漆になります
竹内さんは漆の生産量日本一を誇る岩手県二戸市の職人さんのもとで修行した後、木曽で掻き子をしながら、漆の精製、塗もできるマルチにご活躍されている職人さんです。
今回は普段見ることができない精製工場を見学させていただきました。
精製工場に入るとほんのり酸味のある香りが鼻を抜けました。一緒に見学にいらした方々が「漆のにおいがする!」と話していたのを見て、これが漆の香りか〜とドキドキ。
工場に入ると大切に使われ続けている道具たちが出迎えてくれました
〜漆の精製方法〜
漆の精製は大きく分けて3つ工程があります
①水分を蒸発させ、攪拌させる
大きな樽のような機械を用いて、漆を均一に混ぜながら水分を蒸発させます。この作業をナヤシ(均一にする)とクロメ(蒸発させる)と呼ぶそうです。黒色の漆をつくる際にはここに鉄などを入れます。
42度の熱で水分を飛ばす作業にかかる時間はなんと6時間ほど。
「機械がない時代は手作業で混ぜていました」(竹内さん)
地域によってはいまでも日差しを利用して、手作業で行うこともあるそうです。気の遠くなるような作業にびっくりです。
吊るされているのは水分を蒸発させる電気。大きな樽の中ではプロペラのようなハケが回って、漆を撹拌する
大切に使い続けられている機械には何層にも重なった漆の層が
手作業での様子を再現してくれた竹内さん
品質の高い漆をつくるにはこの精製作業がとても重要で、漆器店を営む会社の中には精製の段階から自社で行うところもあります。
少しずつ水分を蒸発させたり、ていねいに混ぜ合わせていく様子を見ると、樹液といえども漆は生きものなのだと実感します。
続きは次のページで!
旅する漆〜天然塗料「漆」の精製現場②〜
https://note.mu/mimimi128/n/n3f5acf1b921a
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