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情報との接し方を考えることは、生き方を考えること。/デンマークから学ぶ情報との接し方

「情報」とは日々感じ取るもので、それが自分自身を少しずつ形づくっていくもの。

朝起きて、陽の光がまぶしいと感じること。
時計を見て、時間を知ること。

そんな普段意識せずとも感じているものも、行動を起こす上での重要な「情報」です。

そんなふうに意図せずとも日々多くの情報に触れるわたしたちは、どう情報と付き合っていけばいいのでしょうか。

今回は情報を発信する側の「ジャーナリズム」と、受け取る側の「情報との接し方」について、世界報道自由度ランキングで3位(2020年)のデンマークを例に挙げてご紹介していきます。

今回は、デンマークのロラン島に住むニールセン北村朋子さんと、デンマークでプロのジャーナリストを目指す人が学ぶメディア・ジャーナリズムホイスコーレという学校で、ジャーナリズム教育の責任者をしている Henrik P. Berggreen(以下、ヘンリクさん)から生中継でお話しを伺いました。

レクチャー2 2


今回参加したのは連続講義形式のイベントです。詳しくはこちら↓


情報を受け取る側として気を付けたいことを説明する前に、情報を発信する側の「ジャーナリズム」についてお先にご紹介します。

「ジャーナリズム」とは?

ジャーナリズムという言葉はなんとなく知っている気がしていたのですが、調べてみると思ったよりもシンプルな定義でした。

新聞・雑誌・ラジオ・テレビなどで時事的な問題の報道・解説・批評などを行う活動。また、その事業・組織。(広辞苑参照)

そこからもう一歩踏み込んで調べてみると、一定の問題意識と見解にたった論評を行うことを通じて、社会の神経組織としてと同時に、民主主義のための監視装置としての役割を歴史的に負ってきたそうです。

もっと詳しく知りたい方はぜひご自身でも調べてみてください!

ジャーナリズムの使命は、
よりよい市民生活を送るための情報を提供すること

デンマークにおいて、民主主義の第4の権力と言われているジャーナリズム。ジャーナリズムは、民主主義を社会で機能させる上で、機能しなければならない重要な一画を占めていることを国民はよくわかっているのではないかとヘンリクさん。

レクチャー2 4

ジャーナリズムは民主主義を機能させる上で大切な要素であるとのことでしたが、それではジャーナリズムの目的とは一体なんなのでしょうか?

それは、人々が知らなければいけない情報を確実に届けること。デンマークの国営ラジオや新聞社などは、情報を届けるパブリックサービスの役割を強く担っていることを国民の多くが認識しているとのこと。

そのため、ジャーナリズムはお金儲けのために情報を売るのではなく、市民がよりよい市民生活を送るために情報を提供する使命を持っているのです。


ここまで情報を発信する側の役割について説明してきましたが、ここからは情報を受け取る側の姿勢について説明していきます。

日本とデンマークで解釈が異なる「クリティカルシンキング」

日本において「クリティカルシンキング」は、批判的・論理的思考と訳され、情報を主観のみで判断するのではなく、客観的に解釈することだと一般的に考えられています。

一方で、デンマークでいう「クリティカルシンキング」は、少しニュアンスが異なるそうです。ヘンリクさんいわく、「クリティカルシンキング」への第一歩は、自分に関わる全ての情報に対して、その出処はどこで、それはどういう意図で出され、本当に正しいのか考えることだと言います。

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デンマークでいう「クリティカルシンキング」はどうしてそういった意味になるのか、私はあまり理解できなかったため、Critical thinkingの単語をもう少し詳しく調べてみました。

Critical:
① 批評の、批判的な
(局面を左右する)重大な、決定的な、(存在を左右する)危機の

さらに単語を分解したcriticには、分ける、決定、判断という意味が含まれています。

自分が触れる情報は、今後の自分を左右するものだからこそ、その情報が確かなのか判断する必要があると解釈することができます。そういった意味で、デンマークの解釈をより理解することができそうです。

また、「客観的に解釈する」という表現は抽象的ですし、完全にすることは難しいので、まずは情報の出処やその情報が出された意図を調べたり、考えたりすることが情報との付き合い方の最初の一歩になりそうです。


そんなふうに大人になっても情報との付き合い方ってどうすればいいんだろうと考えるのであれば、大人以上に早くから多くの情報に触れる機会を持つ今の若者への教育はどうあるべきなのでしょうか?

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それに対してヘンリクさん。

物心ついたときからソーシャルメディアに触れる今の若者は、SNSの使い方自体をすぐに理解でき、そこから多くの情報を得ている人が多い。それゆえ、批判的に物事を見る目を若い世代が養うことはすごく大事。

実際に、プロパガンダや商品を売るために出されている情報も、それとわからずに接している若者がたくさんいるとヘンリクさん。

「これはなんのために出されている情報なのか?」と情報を受け取る前に、立ち止まって考える必要があるんですね。

今の時代に、小中学校など義務教育の中でメディアリテラシー(※)を学ぶことは、必須項目なのではないかと強く感じました。

※ メディアの仕組みや伝達される情報を理解し、実際に使いこなす能力。(明鏡国語辞典参照)

実際に私は、大学3年時全く知らない人からSNSを通じて連絡があり、起業塾や英会話塾の勧誘を受けたことがあります。当時の私は、勧誘だということを全く分からずに話を聞き、「今の私にこれが必要だ!」と思い、入会したことがあります。

今思えば、あまりにも判断能力がなく相手の意図を全く考えることなく話を聞き、行動を移していたと思います。

また、inquire Inc.代表のモリジュンヤさんは以前、今の若者の情報との付き合い方について、「サッカーのルールを知らないまま試合に出されている状態」だと仰っていました。

たしかに、私自身もあまりにも情報との接し方を知らずにスマホから多くの情報を得てきたように感じます。

今、情報に接するときに気を付けたいこと

それでは、日常生活においてわたしたちが情報に接するときに気を付けられることは何なのでしょうか。

ここからは、ニールセン北村朋子さんからのレクチャーをもとに説明していきます。

レクチャー2

まず初めに、「情報源は何なのか」という観点から情報は3つの種類に分けられます。

一次情報は、自分自身が情報源となっている情報。つまり、自分の目で見たことや経験したことを指します。例では、「ロラン島の森の幼稚園では野生動物をさばいて食べる」ということを実際に自分の目で見たり体験したということなので、一次情報となります。

二次情報は、誰かから聞いた情報。例では、「ロラン島の森の幼稚園では野生動物をさばいて食べる」と朋子さんが言っていた。というふうに、他人から聞いた情報になります。

三次情報は、情報源がどこなのか不明な情報です。ロラン島の森の幼稚園では野生動物をさばいて食べるらしい、という情報はどこから流れてきた情報かよくわからないので三次情報となります。

ならば、普段自分が接している情報はどうでしょうか?

新聞やテレビの情報は、たとえ一次情報をもとに製作されているとしても、編集してまとめられていることがほとんどなので二次情報が多いと言えます。

このnote自体も、イベントを通して学んだ一次情報を編集して発信しているため、二次情報となります。

そのため、これを読んでいる方にはこれを機に、自分が今触れている情報は一次情報なのか、二次情報なのかを考えていただければと思います。

「クリティカルシンキング」の部分でも述べたように、「情報の出処はどこなのか」を意識することが情報に接する上で、基本となる大事なことなんですね。

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そして、一次情報か二次情報以外にも、情報源に対して考える切り口があるんです。

それが、情報源に対する”7つの疑問”

ネット上でも、個人のブログという形で書かれているものもあれば、企業のサイト上で書かれている情報もあります。それはどういう意図で書かれたのか、いつ書かれたのか、だれに向けて書かれたことなのかなど、情報に接する上で考えられることはたくさんあります。

実際に私も調べたいテーマをネット上で調べるときに、”7つの疑問”を意識してみたところ、「作者が実際に経験したことなのか、それとも間接的に知ったことか?」という項目が曖昧な情報が多かったように感じました。また、自分が今までいかに受け身で情報を得ていたかということにも気付かされました。

おわりに

日々、多くの情報に触れるだけでも疲れてしまうのに、「こんなに意識しなきゃいけないの?」とめんどくさい気持ちになってしまう方も多いかと思います。

テレビやSNSを見るときだけでなく、
買い物で商品を選ぶときに「『環境にやさしい』という表記は、何を以ってそう言っているんだろう?」と考えたり、

人の話を聞くときには「今の言葉は、どういう意図で言ったんだろう?」と考えてみると、より自分の生活に奥行きが生まれ、今まで考えなかった部分が見えてくるはず

わたしたちは本当に多くの情報に触れているからこそ、それに対してどう反応するか少し意識するだけでも、日々の生活の質は変わるような気がします。

「情報」とは日々感じ取るもので、自分自身を形成するもの。

この記事があなたの情報との接し方、ひいては生き方を考えるきっかけになったら嬉しいです。

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