【読書感想】 BUTTER 柚木麻子
書店で見かけて気になっていた一冊。
あの木嶋佳苗死刑囚がモデルとなった作品。
ストーリー
男たちの財産を奪い、殺害した容疑で逮捕されたカジマナこと梶井真奈子。
週刊誌記者の町田理佳は、欲望に忠実な梶井の言動に触れるたび、理佳の内面も外見も変貌していく。
バターをそのまま食べたような甘美さと胃もたれ感が味わえる作品
特に記者の理佳が、梶井を崇拝し始め、梶井のように太っていく描写。
梶井の甘ったるい声、上手い話術、そして逮捕されてガラスの向こうにいるのに、まるで実際に触れているかのように理佳の心を操っていく描写。
読んでいてバターが溶けていくがごとく引き込まれ、バターを食べ過ぎたかのような胃もたれ感を味わえる。
読書も梶井に支配されたかのように、夢中になって読んでしまう
読み終えて思ったこと
一冊読み終えて思ったのは、理佳と梶井の違いはなんだったのかということ。
梶井はずっと孤独なままだった。男を手玉に取っても満たされず、自分の理想を手放せなかった。本人のプライドの高さで、心を見せられずこうなってしまったのかなって。
一方で、理佳は食に支配され体型も梶井に近くなってしまっても立ち直れた。周りに助けて!って言える、全部自分でやらなくていい、ほどほどでいいってことを学んだから立ち直れたんだと思う。
頑張りすぎは良くないな。
理想に縛られすぎないよう、ほどほどに生きよう!
作中で、梶井が理佳に進めたバター。
理佳を食に走らせるきっかけになったバターである。
エシレバターと醤油を合わせてご飯に乗せる料理。
エシレバター醤油ご飯、いつか試してみたい。