学校教育におけるナッジとその作り方②【行動経済学×教育】
ナッジの作り方、第2話になります。
学校教育におけるナッジの目的
過去の記事でナッジの目的について何度かお話をしてきました。
なぜわざわざ「学校教育におけるナッジ」と定義しているのか。
学校での「ナッジ」とは、生徒たちがより良い選択をするようにそっと導く方法のことです。これには、勉強のやり方や、友だちとの関わり方など、学校生活全般に関わることが含まれます。一方で、普段の生活や社会で使われる「ナッジ」は、人々が健康的な選択をしたり、環境に優しい行動を取ったりするのを助けるために使われます。
学校でのナッジには、
特に二つの大切な点があると考えています。
1. 成果がすぐには見えなくても、その過程が大切
一般のナッジ施策は当たり前のように結果が求められます。学校でのナッジも結果は大切ですが、すぐに成果が出るわけではないということを理解することが重要です。例えば、数学の勉強で問題が解けなかった時、その問題を解く過程自体に意味があります。間違いから学び、それを乗り越えることで、理解が深まり、解決策を見つける力が育っていきます。これは、ただ正解を見つけることだけが目的ではなく、考える力や問題に立ち向かう力を養うことが重要だという考え方です。
2. 自分で選択し、その選択から学ぶことの価値
学校でのナッジは、自分の選択について深く考え、その結果から学ぶことを大切にしています。自分がなぜその選択をしたのか、それがうまくいくのかいかないのかを自分で考えることで、自己認識が深まります。これは一般のナッジにはない、大きな違いです。これにより、自分自身でより良い選択ができるようになるだけでなく、自分のことをよく理解することで、自信をもつことができるようになります。
ナッジを使う教師の心得
目的を捉える力(基盤)
ナッジの最初のステップは、「なぜこのナッジが必要なのか」という目的を明確にすることです。例えば、「掃除ナッジ(参照)」では、単に環境を清潔に保つこと以上の目的があります。それは、生徒が自分たちの周囲を整えることの重要性を理解し、その過程で自立した意思決定を促すことです。この目的を教師が深く理解し、内面化することが、ナッジを成功させるために不可欠です。
我慢する力(構築)
ナッジを実行する上での挑戦は、生徒が自らの意志で「より良い選択」をするまで待つ必要があります。「ちゃんと掃除しなさい」という直接的な命令は避け、生徒に自主性を持たせる必要があります。このプロセスは教師にとっても容易ではなく、時には大きな忍耐が必要になります。しかし、「我慢する力」をもつことで、生徒自身の成長に繋がる自立した意思決定を促すことができます。
試行錯誤する力(発展)
ナッジは一度に成功するとは限らず、教師は様々な方法を試しながら最適なアプローチを見つける必要があります。この「試行錯誤する力」は、掃除だけでなく、授業や困難な生徒指導においても重要です。教師が経験や知識を積むことで、より効果的なナッジを実践することが可能になります。特に、私個人の意見ですが、知識を得るには「本」がオススメです。本の読み方のコツですが、「インプットするために読む」のではなく、「アウトプットするために読む」ことでその吸収率は飛躍的に上がるといわれています。
ナッジを成功させるためには、教師が①目的を深く理解し、生徒が自らの選択を行うまで②忍耐強く待つこと、そして、様々なアプローチを試しながら③最良の方法を見つけ出す試行錯誤が必要です。これらを通じて、生徒は自立した意思決定を学び、自分自身の成長につなげていくことができます。
今回はここまでとなります。
次回は第3話、
・ナッジを作るまでの過程
・ナッジのフレームワーク
をご紹介します。
次の記事↓
そうじナッジ↓(これで掃除指導の悩みから救われました)
あいさつナッジ↓(ナッジの中で一番簡単かつ楽しいです)
サポートナッジ↓(課題のある子が自ら変わる、画期的なナッジです)
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