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「子育てナッジ」ってなに?【子育てナッジ#3】

ナッジってなに?

強制せずに列に並ぶことができるナッジ

「ナッジ」という言葉、何だか小難しい印象をもちます。
でも、実はこれ、私たちの日常生活の中で無意識に使っているものなんです。たとえば、スーパーで見かけるあのレジ前の足跡マーク。あのマーク、誰に「ここに並んでください!」って強制されるわけでもなく、自然と私たちはその足跡に沿って並んじゃいますよね。これこそがナッジなんです。ちょっとした工夫で、強制せずに人を良い方向に導く方法、それがナッジです。

子育てでも、この「ちょっとした後押し」が大きな鍵になるんです。親が「やりなさい!」と命令しても、子どもは反発すること間違いなしです。でも、ちょっと環境や選択肢を工夫して「やりたくなる」ように軌道修正することで、子どもは自然に行動を選びます。押し付けるんじゃなくて、子どもが「自分で選んでいる」と感じるのが大事なんです。

ナッジの思想:リバタリアン・パターナリズム

さぁ、さらにわけのわからない言葉がでてきました。簡単に説明しますね。

ナッジには「リバタリアン・パターナリズム」というちょっと難しそうですが、知っておかなければならない考え方があります。しかし、意味は単純です。「自由を大事にしながら、ちょっとだけ後押ししてあげる」ということです。

これを子育てに置き換えると、「子どもに選ばせる自由を与えながら、でもその選択肢を工夫して、親の考えるよりよい方向に自然と導く」ということです。

たとえば、公園で遊んでいる子どもに「そろそろ帰る時間だよ!」と言っても、すんなり帰りたがらないのが普通ですよね。でも、「帰り道に新しいアイスクリームのお店を見に行ってみない?」と提案をするとどうでしょうか。皆さんが子どもなら少し気持ちが動きませんか?これがナッジの力です。

もちろん、そんな都合よく新しいアイスクリーム屋が全ての公園の近くにあるわけではないことはわかっています。しかし、情報と言いますか、感覚と言いますか、「アイスクリーム屋あるけど行ってみない?」を言われた時の心の動き方を、覚えていてほしいんです。

子どもが自由に選んでいると感じる、その感覚を尊重しながら、ちょっとした提案をする。これこそ、リバタリアン・パターナリズムの考え方です。

モンテッソーリ教育との違い

「それってモンテッソーリ教育と同じじゃないの?」と思う方もいるかもしれません。モンテッソーリ教育とは、簡単に言えば「子どもに自分でやらせてみましょう!」という考え方です。

ただし、ただ自由にさせるだけではなく、特に幼児期に、しっかりと環境を整えてあげることで、子どもが自分で選んで発見し、成長していくようにサポートする教育法なんです。(厳密にいうとそれ以降もあるのですが、世間の指し示すモンテは6歳もしくは12歳までの教育法として有名ですね)

確かに、どちらも子どもの自主性を大切にし、環境設定を重視します。
決定的な違いは「目的」です。

モンテッソーリ教育は、子どもの潜在能力や特性を発見し、それを育てることに強い信念を持っています。特に幼児期における脳の発達を最大限に活かすため、環境を整えて、子どもの才能を引き出すことを目指すんです。

早期教育や、幼児期に特化した「英才教育」的な要素が強いのが特徴です。「何歳までに脳の基礎が決まる」という考え方に基づいて、その時期に集中的に教育を施す意味合いが強くあります。

一方、子育てナッジは、早期教育のように才能開花というよりかは、安直にいうと柔軟です。ナッジは、子どもがどの年齢でも、自分で選び、行動する力を引き出す方法です。幼児期だけでなく、思春期や大人になってからも効果的に使えます。成長段階に応じて、その場に合ったちょっとした後押しを加えることで、子どもの自主性や判断力を育てます。

ナッジは「特定の時期に特化する」ものではなく、日常のあらゆる場面で、年齢に関係なく使えます。

つまり、どちらが良いというわけでなく、目的が違うということです。そこに上下は存在せず、自分に適した方を利用することが大切です。色々選べた方がいいですよね。(バイキング形式が嫌いな人はごめんなさい)

モンテッソーリが「才能を発見し、最大限に育てる」ことを目的とするのに対し、子育てナッジは「どの瞬間でも、子どもが自分の力で選んで動けるようにする」ことを大切にしています。

私が後者を選ぶのは、
成績優秀な子どもを願う授業ではなく、自分の人生を自分で生き抜く授業を目指したように、自分の人生のハンドルを他人に委ねず、自分で握られる子どもたちが増えてほしいと願ったから。
その思いのみです。

早期教育、英才教育にご興味があるかたは、そっと本記事を閉じていただくといいかもしれません。
いや、強がりました。すみません。もう少しだけお付き合いください。

今日はここまで。ありがとうございました。

参照:
『モンテッソーリ教育法』(マリア・モンテッソーリ著)
『モンテッソーリ教育――その理論と実践』(リタ・クレイマー著)


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