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学校教育におけるナッジとその作り方①【行動経済学×教育】

もしナッジが作れるとしたら・・・

ナッジに興味をもっていただいた方に
ぜひ届けたい記事です。
何かと言いますと・・・・

学校教育における「ナッジの作り方」

ついにまとめていきたいと思います。

・行動経済学とは
・ナッジ(Nudge)とは

・スラッジ(悪いナッジ)とは
・学校教育におけるナッジの目的
・ナッジを使う教師の心得 
・ナッジを作るまでの過程
・ナッジのフレームワーク 
・ボトルネック(悪影響)を見つける
・ボトルネックに対するナッジを選ぶ 
・シートを使って実際に考える 
・おわりに

行動経済学とは

日常の意思決定の背後にある科学

「50%オフで、欲しくもないのに買ってしまう」
「いつもと同じメニューばかりを選んでしまう」
「知らないお店の行列につられて並んでしまう」

私たちは自分の意志で自由に選択している 
と思いがちですが、
予想外な心理的要因の影響を受けていると、
50近い理論をもとに明らかにしたものが
行動経済学になります。

従来の経済学が、
かしこく合理的な人間像を前提とし、
行動経済学は
現実の非合理な人間像
を前提としています。

この従来の経済学の前提、

教育にも当てはまる部分があるかと思います。

「子供はかくあるべき」
「子供にはこう言うべき」
「私はこう育ってきた」
「俺はこう言ったら過去上手く言った」

教師の望む合理的な子供の姿を前提とした
「かくあるべき」指導は、
教育というジャンルにおいて
切っては切れないないものだと思います。

行動経済学は、そんな教育観に
「人間は予想通りに不合理なんだよ」
と理論で優しく気付かせてくれる。
そんな学問だと、
私は勝手に思っています。

ナッジ(Nudge)とは

ナッジ(Nudge)は、

人々の行動や選択をゆるやかに変える方法です。

前述した行動経済学を利用して、
人々の行動を予測可能な方法で
正の方向へ導くものです。

そして、
リバタリアン・パターナリズムという思想を
もとに作られた方法でもあります。

リバタリアンパターナリズム

面倒臭いカタカナ横文字ですが、
ナッジを理解する上では外せません。
リバタリアンが自由人主義
パターナリズムが父権主義(こうあるべき)
これを合わせたものが
リバタリアンパターナリズムとなります。

簡単にいうと、
「自由意志を尊重しつつ、良い方向へと導く方法」
という考え方です。

この考え、
まさに今求められる教育の形と、
同じではないでしょうか。

教え込むから、ファシリテートへ。

スキル重視からコンピテンシーとの両立へ。

生徒指導提要でも自己決定の機会の提供、
自己指導能力の向上が示されました。

「ナッジ」はそれらを
自然と体現できる側面も持ち合わせています。

スラッジ(悪いナッジ)とは

スラッジとは本来、
下水処理や工場廃水処理の際に出る
沈殿物のことを指します。

この沈殿物になぞらえた
スラッジ(悪いナッジ)とは、

ナッジの概念を利用して
人々の行動を
特定の企業や人の利益のために誘導するもの 

を指します。

この文脈を教育に当てはめると、

ナッジを
教師にとって都合よく、
子供を支配下に置くために使ってしまうこと

がスラッジになります。

以下はよりスラッジについて詳しくまとめたものになります↓

操作的目的 子どもの自主性や利益よりも、教師や学校の目的を優先する場合。
選択の制限 子どもの自由な選択を制限し、特定の行動を強制する場合。
透明性の欠如 子どもにナッジの目的や方法を隠し、秘密裏に行う場合。

これらを防ぐためにも、
ナッジをする際には大事なポイントがあります。

それは
ナッジする目的を子どもと
きちんと共有することです。

そうすることで、
最終的には子どもも自身で
意思決定をしていることになります。

どんな指導法も、子どもと教師が
「目的」を共有できているかで
成果は大きく異なります。

ナッジを使っていくことで
積極的に「目的」を大切にしていく
意識も育てることができます。

今回はここまでとなります。
次回は続編として
・学校教育におけるナッジの目的
・ナッジを使う教師の心得
 
をご紹介します。

次の記事↓





参考文献:
大竹文雄(2019)『行動経済学の使い方』岩波新書
Richard H. Thaler & Cass R. Sunstein
Nudge: Improving Decisions About Health, Wealth and Happiness 及びその邦訳(実践行動経済学、2009)


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