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子育てナッジ連載開始!【子育てナッジ#1】

前書き


子育ての中で、どんなに「ほめ方」や「声かけ」に工夫を凝らしても、思うような成果が続かないと悩んだことはありませんか?私も、子どもたちに良い影響を与えようと、多くのアプローチを試してきました。しかし、ほめても叱っても、その効果が長続きしないというジレンマに、しばしば頭を悩ませてきました。

みなさんは、「児童自立支援施設」という施設をご存じでしょうか?これは、犯罪や不良行為の恐れがある児童、または家庭環境から生活指導を必要とする児童を受け入れ、自立を支援する施設です。

私は29歳のとき、この児童自立支援施設内にある学校に異動を命じられました。ここでは、どんなにルールを教えたり、正しい行動を促したりしても、それがまったく通用しない現実に直面しました。もしかすると、これまでの経験では、子どもたちは恐怖や家庭環境の縛り、親の顔色をうかがって言うことを聞いていただけだったのかもしれません。しかし、そのような制約がない子どもたちは、むしろ素直だったのではないかと感じるようになりました。

「どうすれば、子どもが自分の行動を自らの問題として捉え、変わることができるのか?自発的に成長し続けられるのか?」――この問いに対する答えを探し求めていた時に出会ったのが、「ナッジ」という考え方でした。

ナッジとは、強制的に行動を変えようとするのではなく、環境や選択肢を少し工夫することで、自然と望ましい行動を引き出す方法です。この考えに触れてから、私は「声かけ」や「ほめ方」だけに頼らず、子どもが自ら行動をコントロールできるように導く新たな視点を得ました。それは、「強制」ではなく、子どもの「やってみたい」という気持ちを引き出す力です。

「ナッジ」を取り入れてから、子どもたちの反応はみるみる変わっていきました。例えば、中学生でアルファベットすら書けなかった子、成績がオール1の子、授業中はほぼ寝ていた子が、テストで80点を取るのが当たり前になっていったのです。ちなみに、私は特別教えるのがうまいわけではありません。ただナッジを取り入れただけです。

本連載では、この「学校ナッジ」を「子育てナッジ」へと応用し体系化したものを紹介しています。これを試してくださった保護者の方々も、大きな変化を実感してくださいました。親が肩の力を抜き、子どもが自ら成長していく姿を見守るための新しいアプローチとして、この「子育てナッジ」の力を感じていただけることを願っています。

そして、このアプローチの核となるのは、子どもを「叱らない」ことです。よくこの言葉で勘違いされやすいのが、決して「叱らない」とは「何もしない」という意味ではありません。暴言暴力を放っておくわけでもありません。許しがたい行動に対しては、一貫性をもって対応します。しかし、よくよく考えると、1日の中でそんな行動をとっているのは極々わずかなわけです。叱ってわからせるのでなく、環境や選択肢を工夫して子どもを勇気づけ、彼らが自ら進んで行動できる力を引き出すことなのです。これこそが「叱らない勇気づけの子育て」の真髄であり、本連載でお伝えしたいメッセージです。

今日はここまでで。ありがとうございました。


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