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#それでもスポーツで生きていく・#4

スポーツ界の『生きづらさ』と自立への道筋

連載第4回。今回は下記《日本スポーツの自立を阻む5つの要因》の4つめ、スポーツ界の「経営上層部(の集まり)がサロン化」しています、というお話です。

≪ 日本スポーツの自立を阻む5つの要因 ≫

1.日本のスポーツ界は本当に「稼げません」
2.「やりがい搾取」が横行しています
3.組織が上意下達の「ピラミッド型」です
4.「経営上層部がサロン化」しています
5.現場からの「叩き上げ経営トップがいません」

前回の、上記「3.」に関する考察は、スポーツ界の組織面の特徴を、図表なども引用しながらお伝えしました。

今回の4番目のテーマ、個人的には一番書きづらいテーマだと感じております。業界内の形のないものを議題にし、文章にする人、あまりいないと思うからです。

一体どのようなお話しか。

業界内で情報交換の機会として、会合などで集うことが時折あるのですが、その集まりの空気感が僕は苦手なのです。

まずは知人に会うと、
「よぉ~お、久しぶりー、岡ちゃん、元気にしてたー?」ガッ!と握手、そして腕組み
( よくスポーツの選手達が対戦前に、グラウンドの隅っこでやってるあの雰囲気をイメージしてください。 )

僕は、社会人になって最初に勤めたのは不動産の営業マンでしたので「どうもお久しぶりです!(ペコリ)。元気にされてました?(笑顔&直立)」という感じ、これが社会人のスタンダードかな、と勝手に思う節があります。

別にスポーツ業界の風習みたいなものだから、大して気にすることでもない、と諭されたこともありますし、実際にそうなれば、握手を拒むこともありません。ガッ!と握手(キリッ)です。笑

でも、なんか慣れない空気感があるんですよね。社交界的空気というか…

「サロン化」って?

Y!知恵袋にこんな質問と応答がありました。

「サロン化する」とはどういう意味なのでしょうか?
例えば、「審議会がサロン化することを恐れる」など。

ベストアンサーにはこんな回答が。

「サロン」とは、和気あいあいと仲良くお喋りを楽しむ場所のことです。「審議会」とは「その議題が良いのかダメなのか審議する会」のことですから、(中略)「仲良くお喋りしましょ」という空気になってしまえばそれはできませんので、充分な審議ができなくなり、なんとなーく当たり障りのない、誰の腹を立てることもない結論しか出なくなってしまいます

他にはこんな回答も。

サロンには「ヨーロッパ、特にフランスで、上流階級の婦人が、その邸宅の客間で開いた社交的な集まり」という意味があります。社交界の集まりとは、友好や親睦を深める目的の集まりであって、眉間に皺を寄せるような話題は「ご法度」です。

引用 ) Y!知恵袋 | 「サロン化する」とはどういう意味なのでしょうか?
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11116306061

僕のイメージする「サロン化」ですが、『上流階級の社交の集まり』というのが、一番状況を言い当てている気がします。

スポーツ界の集まりって、まさにこんな感じです。僕もこんなこと思っていながら、偉い人に楯突いたことなんてありません。

( 仕事では割と偉い人と戦ってしまうので、僕はこんな人生になってます… )

昨今のスポーツ「サロン」を賑やかす「未来」の話題

東京五輪の招致に成功してから、スポーツ界の会合に一番足繁く登場されているのは、ICT関連業界の方々ではないかと思います。

するスポーツ関係の方々には、ウェアラブル端末がもたらすIoTイノベーションや、ドローンAIを活用した戦術分析のお話など。

みるスポーツ関係の集まりでは、5Gの話やVR・AR・MR4K8K多視点・自由視点映像など。

( 業界最大イベントSPORTECで、実際に川崎フロンターレ対ガンバ大阪の自由視点映像を見て凄かったのですが、チェルシー相手に川崎フロンターレが勝った試合を、サウナのリクライニングシートのちっちゃいモニターで見たときの方が、より感動してます。)

ささえるスポーツ関係では、顔認証など認証技術のお話など。

最先端技術がもたらすであろう「未来」のお話に、スポーツ界のトップは「すごい」と感服し、できれば他より先に、それを自分たちで実現したい!と、職場に話を持ち帰ります。

スポーツの現場の人々は、ろくに通常運営の体制も整わず、稼げない現実(「今ここ」)を見ていますので、そんなトップを「地に足がついてないなぁ…」って思いながら見ています。

「東京五輪を機に金儲けを目論むスポーツ業界外の営業トークにまんまと乗っかっちゃってるなー」

…って、まっとうな「今ここ」を直視している現場の人々は、そう感じているのです。

現場の「今ここ」にしっかり立つトップの姿

前回の投稿でも「ティール組織」のnote紹介記事で、登場しておられたFC今治・岡田武史オーナー。

いかにも僕が知人面して、ミーハーに写っている写真ですが、FC今治の会場にいけば、スポーツ関係者でなくとも、気軽に写真撮影に応じてくださるのが実情です。

すぐ脇に芳名プレートがあるあたり、商魂を感じたりもしますが(笑)、写真撮影が金銭サポートのバーターになっているわけでもありません。

お客さまが偉い方であろうが、僕みたいな底辺であろうが、岡田オーナーは丁寧に接してくださいます。

スポーツ業界「サロン」の場でも、これでもかと登壇される岡田オーナーですが、『上流階級の社交感』なく、目の前の「今ここ」を大事に活動されている姿に、僕は心を打たれます。

背伸びした「未来」より「今ここ」を起点に

高過ぎる理想と現実のギャップは、時に人を苦しめることがあります。僕自身も、うつ病になって調子を崩した際に、同じ病を経験した上司に「コツコツと日々できた小さなことを喜ぶようにした方がいい」とアドバイスを受けました。

また、通ったメンタルクリニックの先生には「自分がダメだ、という理由で何か目標を設定し頑張ることは今はやめた方がいい。出来なかった時に落ち込むことになるので」と言われました。

理想を掲げて、目標を具体化し、それをペースメーカーにして頑張ること。これは、ビジョンを掲げ、達成目標を明示し人を動かす、これまで王道の経営手法とまったく同じやり方ですが、自立の問題を抱える人にとっては、そのスタンス自体が重荷になりうる、ということを、僕はうつ病になって学びました。

自立の問題を抱えるスポーツ界も、似たような病理への理解と、考え方のシフトチェンジが求められているように僕は感じるのです。

スポーツ界の「経営上層部のサロン化」という、参考資料も何もない、僕の主観と感覚で書き殴ったお話。

それでも、上流階級の社交の場が好きなスポーツ経営者は多いと感じますし、単なる社交からスポーツ界の自立への道筋は開かれない、と思うのです。少しでも警鐘になれば、と文章にしてみました。

次回は《スポーツ界の自立を阻む5つの要因》の最後のお話になります。こちらもぜひ、お付き合いいただけましたら幸いです。

スポーツエッセイスト
岡田浩志

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岡田浩志
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