読書日記:幕末史(半藤一利 著)

読んだ本をそのままにしてたらどうせそのうち忘れて何にもならんので、ここで少しでもアウトプットして、あとから見返したときに読んで感じたこととかを思い出せるようにしておきたいなと思って、読んだら雑感をまとめていこうかなと思います。

仕事に育児に家事に加えて趣味も複数同時進行なので、やることが多すぎて正直読書は1ヶ月に1冊ペースでしか読めてません。なので別に私は読書家という訳でもありません。ただ単純に読書にかけた時間を無駄にしないために、記録しておきたいなと思ったので記すだけです。

今回は半藤一利さんの「幕末史」という本を読みました。
昨年からすっかりコテンラジオに影響されて何か歴史の勉強をしてみたくなって、はじめに吉田松陰や高杉晋作に関する本をいくつか読んだのですが、その延長でこの本を手に取ってみました。

率直な印象ではすごく面白かったです。
今まで読んでたのが吉田松陰や高杉晋作だったので、明治維新が起こる前に死んでいった人たちの人生を読んできたわけですが、今回の「幕末史」はペリー来航から西南戦争までを網羅されていたし、群像的に書いてくれてるので、単純に新しく知れたことが多くて楽しく読めました。

鎖国を無理やりこじ開けられた激動の時代、新しく国を作り替えようとした男達がたくさんいて、出身藩も違うなか、熱意や理想論で動く人たちや、権力闘争的な力学で動く人たちがグラデーションで存在していて、それを一個の方向性にまとめていくことの難しさを想像できたことは良かった。この当時の主要な人たちがああでもないこうでもないと程度はあれど、真剣に考えた結果が現代まで続いてるんやろなってことを実感した。

吉田松陰が撒いた種が彼の死と共に開花し、高杉晋作が長州を首の皮一枚生き残らせた。そこから薩長同盟に繋がり、勝海舟の踏ん張りによる江戸の無血開城を経て御一新が成る。
その後の明治政府は権力闘争も背景にあってごたごたで、廃藩置県、廃刀令、徴兵令と、簡単に表記はできるが、実際やろうとするとものすごいエネルギーが必要だったことも今回分かった。
その過程で主要な人物は暗殺され、そして真のラストサムライである西郷隆盛が新時代に不要とされた藩兵や武士と共に散っていく。最後には誰もいなくなり、伊藤博文と山県有朋だけが残ったという形に。

これはコテンラジオでも良く言われてるけど、歴史って誰もが最初から狙ったところに収まらないとこは諸行無常を感じるし、そもそも歴史というモンスターをコントロールすることなんて誰にもできないのだなということを強く感じた。

あと読んでいて疑問に思ったのは、幕末ってめちゃめちゃに治安が悪くて、幕府側と尊王攘夷派がバチバチに闘って、暗殺も横行している印象があるのだけど、殺人罪ってどうなってたんだろうね。刑法も警察もなかった?この頃は町奉行になるのかな?そもそも藩による自治がめちゃ強そうだから藩独自の刑罰みたいなのがあったんだろうか。
とにかくこの時代に生まれんで良かったなと。

よく、SNS等で、現代の生きづらさとかに不満を述べる声や、お先真っ暗過ぎるから子どもも作れないとかっていう意見が述べられたりしているのを見かけるのだけど、幕末を見ただけでも断然今の時代のほうがめっちゃ良いじゃんって思う。
まず法律や警察が機能していて、安心感がある。こういう治安の良さみたいなとこって現代人は当たり前になってるけど、実際はほんの150年くらい前は京都で人斬りやテロリストが跋扈してたんだから、それに比べたら現代はとても恵まれている。私たちは人斬りやテロリストがほぼいない状態ってのが当たり前じゃないことを自覚しなければならない。

それに当時の民衆のほうがこの先どうなるねんって思ってたに違いない。外国に揺すられ、270年位続いた徳川幕府が消滅し、何やわからん薩長が新政府を作りはじめる、こんなに先行き不安なことがあろうか。これに比べたらやっぱりまだまだ現代はマシじゃないか。

現代は教育水準が上がって、身分が無くなって、自由と知恵を得た国民が無駄に将来を悲観しすぎているように思える。賢くなるというのも考えものだ。
言ってしまえばいつの時代も将来は不安なのであって、歴史というものは誰にもコントロール不能なモンスターみたいなものだから、そこにいる人たちの意図とは別に結局収まるところに収まっていくことになる。その結果、たまたま歴史に恵まれる者もいれば、たまたま歴史から排除される者も出てきてしまう。

コントロールできないならばそんなに将来を悲観しても意味がない。幕末の志士のようにその瞬間瞬間を全力で頑張って生き抜くしかないのではないかと思えた。

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