思わず切り取った風景
日常、空を見上げることなんてしてなかった。
忙しかった訳じゃないし、忘れてた訳でも
……ただ、上を見る、ということを意識して
居なかっただけなのだ。たまたま
見上げた空に、くっきりとラインが引かれて
気持ちが良くて、思わず笑顔に。
心が動いたら行動している
写真を撮るのも撮られるのも苦手としていた
そのはずなのに、今日は動いた。
部屋のなかから撮影して、少しだけ
気持ちが前を向いている、ということも
わかって。そうか、こうして私自身も
変わっていくんだな、と感じて。
何気ないことでも残すこと
思い出を作るのがどうしても苦手な子供。
それが私だったように思う。思い出、という
言葉がどうしてもそぐわないような
そんな気がしていたのかな、何となく。
私は『形に』残すことがどうしても
得意になれないらしい。不器用なのか
それとも、あまのじゃくなだけか?
どちらにせよ、私という人間の
面白さでもある、と今なら言える。
※※※
できるだけシンプルに暮らして、軽く生きたい。
そう感じたり思うようになれたのは
ここ最近のことだ、感謝している。
自分がどうあり、何をするのか、を
自分て決めていかなければ、切り開けない。
9月の終わりに、そんなことを考えた。
年が迫ると、自分の身の回りを確かめるように
大掃除が始まったり、年賀状を書いたり……
そんな当たり前の、何でもない暮らしが
時折、忘れかけていたことまで思い出させて
くれることもある。
しあわせが身近にある
ないない、といっている時点で
何も変わらないし、存在を見ようとしていない
だから、目につかないのだ、と理解したのは
ドラマの中で、テレビの中で再会したお二人。
市原悦子さん
渡瀬恒彦さん
お二人のお陰さまだ。
私にとって、このお二人が出ている
ドラマが立て続けに見られた、と言うことが
既にしあわせなのだ。
また会えましたね、桜乙女さん(市原悦子さん)
また会えましたね。鳥居勘三郎さん
(渡瀬恒彦さん)。
きっとまた、些細な再会を喜べると思う。
西遊記で再会を果たした、八戒……
左とん平さんのように。
ありふれたしあわせ、だから。当たり前か。
いや、これは。私からすれば奇跡に近い。
蹴散らしているから見えていないだけで
本当は近くに転がっている。見つけられるか
手に取り、声をかけられるか、ということだけ。