介護のストレスを減らすには?原因や簡単にできる解消法を詳しく解説!
「親の介護で体力が持たない、常に気が張ってストレスがたまる」
「家族の介護による経済的な負担が大きく困っている」
「介護に疲れて家族に冷たくあったてしまい、自分がイヤになる……」
何年も続く自宅での介護。はじめは気合いで乗り切っていた方も、負担が増えてストレスが続くと、心身ともに疲弊します。無理が続き、気づかないうちに体や心が壊れてしまい、家族が共倒れになるケースも少なくありません。
今回は、介護によるストレスを解消・回避する具体的な方法をご紹介します。
介護・行政サービスの利用や、今すぐできる解消法も解説しますので、ぜひ参考にしてください。
介護うつになる?ストレスを放っておくのは危険
在宅介護による心理的・経済的負担は、予想以上に大きいものです。
「家族が病気になってしまった」という精神的ダメージに加えて、終わりの見えない介護が続くと、心が疲弊します。
また介護は、医療費の自己負担や交通費・介護用品など、予想以上にお金がかかるのです。介護で仕事を休むことになれば、さらに経済的な負担が増えるでしょう。
こうした介護者の負担は、気づかないうちに積み重なり、それがストレスになります。そして、ストレスを我慢し続けると、「介護うつ」という病気になる危険性があります。
介護ストレスによる体のサインを知ろう!
「家族のために!」と、介護をがんばりすぎる人ほど介護うつになりやすいといわれています。
介護うつは、れっきとした病気です。進行すると、思いもよらぬ虐待や暴力につながる恐れがあります。
トラブルを防ぐためにも、体が受けたストレスのサインを見逃さないようにしましょう。
<介護ストレスによる体のサインの例>
・食べ過ぎる、食欲がなくなる
・頭痛、肩こり、めまいなど体に不調を感じる
・すべて手放してしまいたくなり、涙が出てくる
・夜に何度も目が覚めたり、不安がよぎって眠れない
・理由がないのに気分が沈み、何もやる気が起こらない
上記のような症状は、ストレスによって起こる体のサインの一部です。「介護うつ」を発症しているかもしれません。
少しでも心が疲れたと感じたら、悩まずに病院へ行くようにしましょう。
介護うつの場合は
を受診するとよいでしょう。
ストレスになる原因
介護が続くと、ストレスが溜まりイライラしやすくなります。
事前にストレスの原因を知り、ストレスを回避することが大切です。
ストレスの原因を確認していきましょう。
1) 頑張りすぎている
介護をするうえで「大切な家族の面倒を見たい」「役に立ちたいという思い」は偉大であり、介護される立場からも有難く心の支えになります。
しかし、仕事や子育てと介護を両立させることは不可能に近いのです。特に、普段から責任感が強く頑張り屋の方は、この傾向に陥りやすいので気を付けなければいけません。
長期にわたる介護は、ご自身の余力を残した範囲で行い、行政サービスや周りの人を頼ることを忘れないでください。
2) 世間から孤立して孤独を感じる
介護に時間が費やされ社会から遠のくと、孤独を感じ、自分だけがとり残された気分になります。また、介護の頑張りは周りから認められる機会が少ないため、「何のためにやっているんだろう」と無力に感じやすくなるのです。
まずは、介護家族の集まりや趣味の仲間と積極的に社会と関わるようにしましょう。
話す相手が誰もいなければ、担当のケアマネジャーや訪問介護のスタッフにささいな悩みを相談するだけでも構いません。
思いのほか共通点が見つかり、よき相談相手になるかもしれません。
介護によるストレス疲れを減らす物理的な方法-3つ-
介護の負担を減らすためには、介護サービスや介護グッズをうまく利用するとよいでしょう。
1) 介護サービスを上手に利用する
要介護認定の診断が下りれば、介護保険の限度内で介護保険サービスを受けることができます。
担当のケアマネジャーに相談すると、個人に合わせたケアプランを組んでもらえます。それぞれの家族によって必要とする部分は変わるため、サービス内容も異なります。サービスを最大限活かすためには、負担が大きい部分を具体的にケアマネジャーに伝えることが重要です。
そのほか、全国の各市区町村や民間企業が行う介護保険外サービスというものがあります。
介護保険外サービスの内容は、地域によって事業者が異なります。お住まいの地域で利用できる事業者の情報をしっかり把握しましょう。
知識がない場合、まずはケアマネジャーや地域包括支援センターで相談するのがおすすめです。
2) 介護便利グッズ・介護アイデアを導入する
介護グッズの利用は、介護者の負担が減るだけでなく、介護される側の苦痛も軽減します。日々のちょっとした負担を減らすことは、家族間の関係維持にも繋がりますよ。
具体的な介護グッズを3つご紹介します。
<在宅介護の便利なグッズ例>
・コールボタン
コールボタンがあると用事があるときに呼べるので、常に気にかけていなければならないという心の負担が軽くなります。持ち運べるタイプの受信機も販売されていて、用途に合った種類を選べます。
・お薬カレンダー
壁にかけられるお薬カレンダーは、薬をまとめて準備できるので、時間や手間を大幅に省けます。また、見えるところにあると、飲み忘れを防止できます。
・見守りロボット
見守りロボットは、センサーや外部への通信機能が備わったロボットです。カメラが内蔵されており、遠くからでも高齢者の様子を確認できます。センサーが感知してスマホへ通知が送信されるなど、多岐にわたる機能が備わっており、用途に合わせて選べます。
そのほか、クイズの出題や独り言会話など、話し相手にもなる機能も多彩で、利用者も大いに楽しめます。被介護者と一定の時間離れることで、リラックスの時間にあてられるでしょう。
見守りロボットにはレンタル利用が可能な商品もありますので、一度試してみるのもアリです。
3) 介護施設への入居を考える
ストレス解消法を試しても難しい場合や世話をするのが困難な場合は、介護施設の利用を検討してみるとよいでしょう。
在宅介護をするためには、近くに支える家族がたくさんいる、自宅の体制が整っているなど条件が必要です。無理をして体を壊す前に、専門家のいる施設への入居を検討するという選択肢もあります。施設へ入居することで、お互いにとってより快適な暮らしを実現させられるケースも。
介護者から施設への入居について切り出すのが難しい場合は、ケアマネージャーに相談してみるとよいでしょう。
介護による心理的ストレスを減らす方法-4つ-
続いて、心理的なストレスを減らす方法をご紹介します。
1) 離れる時間を持つ
「レスパイトケア」という言葉を聞いたことがありますか?
レスパイトケアとは、介護する家族が介護から一時的に離れ休息をとるために実施されるサービスのことです。
介護者の介護疲れや共倒れを防ぎ、継続的な介護を可能にすることを目的としています。
デイサービスや訪問リハビリを利用することは、心理的ストレスだけでなく、時間的な負担の軽減にもつながります。
介護者自身の健康を維持するためには、休める時間を持つことが大切です。しっかり心に留めておきましょう。
2) 介護の専門家・先輩に相談する
ケアマネージャーや役所の相談サービスで専門家に相談することがおすすめです。
ケアマネジャーは、多くの介護者と関わってきているので、状況を理解して的確なアドバイスをくれる貴重な存在です。守秘義務があるので、話した内容が他人に知られるという心配もありません。
また、相談できる相手がいることは、心の負担が軽減につながります。
ほかには、主治医に状況を説明することで、介護認定の見直しがされるかもしれません。
一人で抱え込まずに、近くにいる相手に話すことで解決できる問題もあることを知っておきましょう。
<その他の相談窓口>
3) SNSで交流する
友人や家族など顔見知りの人に、介護をストレスに感じていると相談するのは難しい場合もあるでしょう。
「介護に疲れた」「介護から解放されたい」と話すと冷たい人だと思われそうで、悩みを打ち明ける相手がいないという方も多いのではないでしょうか。
その場合、TwitterなどのSNSで同じ状況の人と交流することがおもいのほか助けになるケースもあります。顔も名前も知らない人なので本音で話すことができ、同じ状況であれば、共感してもらえて心も楽になります。
また、知らなかったサービスや介護に役立つ情報が得られるかもしれません。
4) 自分の時間を作りリフレッシュする
自宅での介護に時間を取られて自分の時間がなくなると、心に余裕がなくなります。普段は家族のことを大切にできていたのに、余裕がなくなると冷たくあたってしまい、さらに落ち込むという悪循環にも。
宅食や掃除・ハウスクリーニングを利用し、離れる時間を見つけてください。
介護にかかわらず、大切な人と少し距離を置くことで、自分を見つめなおし快適な関係を保てるようになります。
<具体的なリフレッシュ例>
まとめ
今回は、介護によるストレスを解消する具体的な方法を紹介しました。
人により状況の異なる在宅介護には、正解がありません。頑張ってどうにかできる問題ではありませんので、周りに相談し受けられるサービスを正しく利用することが大切です。
離れて過ごしたり、自分の時間を持つことに罪悪感を抱いたりする必要はありません。介護を継続させるためには、まず、介護する人が心身共に健康であることが重要なのです。
介護する側の負担を軽減させて、リフレッシュできる方法を探してみましょう。