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待ち遠しくて

仕事が休みの日は夜明け前から散歩に出かけることが多い。

昨年の夏の散歩はしんどかった。
日の出前でも吸い込む空気はぬるく、5分も歩かないうちに汗が噴きでた。こんなことは北国では初めてのこと。食欲も落ち始めたので散歩時間がだんだん短くなった。
それでも季節がだんだんすすむと空気が変わってきた。

秋の終わり、冬が近づいてきた11月中頃、久しぶりに散歩をしてみた。
外はまだ暗い。
玄関を開けると冷たい風に少し怯んでしまう。
手袋と帽子でしっかり防寒する。
道路がきらきらと光っている。
アスファルトの表面の水が、朝の冷え込みで氷り、街路灯を反射しているから。
滑らないように慎重に歩く。
路肩の花や草には霜が降りているみたいだ。
冬はもうすぐやってくる。

少し歩くと空が白んでくる。
海を目指す。
日の出前のマジックアワーに出会えるだろうか。
紫色の、オレンジの、黄色の、あの不思議で美しい空の色。
たとえ晴れていても、雲の多い日と雲のない日とでの風景は全然違う。
今日は
少し雲が出ているようだ。

散歩で出会えるのは日の出だけではない。
たくさんの荷物を運ぶ貨物列車の大きな音、ひよっこり顔を出すねこたち、寝ている人を気遣って昨晩よりも減っている看板の明かり、ふわっと漂う朝ご飯の匂い、綺麗に手入れをしている角の家の畑や庭、すれ違う人とのあいさつ。
同じ景色でも色や匂いが日によって違う。
今日はどんな景色に会えるのか。

今は冬。
しばらくの間、散歩はできない。
再開できるのはいつになるやら。
春の香りが近づいてきたら、ソワソワしそうである。

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