『N』道尾 秀介

この本は本当にすごかった、一度も栞を使うことなく6時間ぶっ通しで没入していました。
本書の1番の特徴は、全6篇の短編が収録されていて、読む順番は読者に委ねられている点だと思います(6×5×4×3×2×1=720通りもあるらしい)。どの順番で読んでも、全体として話が纏まり、最後の一章を読んだ時にパズルのピースが全部揃う感覚は、他に類を見ず新しい読書体験を与えてくれると思います。
もし今後読む予定がある方は、以下の文はとりあえず読まずに、記事を閉じてほしいと思います。

この本を小説と分類するのももちろん間違っていると思うし、プレイヤーの選択次第でストーリーが変化する昨今流行りのゲームともまた少し違う、全く新しい実験的な作品だと強く感じました。

時代も主人公も全く異なる六つの章のそれぞれに謎があり、それぞれに登場人物の背景が語られています。ある章での謎が、また別の章で解明され、ある章で既成事実であったことが、また別の章での謎の答えであったり、章を跨いで沢山の謎と答えが散りばめられていました。

最初に読んだ章で、なんとなく流していた事実が、最後に読んだ章でとても重要なキーでした、みたいなことが幾度も続き、次はこの順番で読んでみようと720回繰り返しているうちに人生が終わりそうな一冊です。

深夜4時半にこの本を読み終わり、この記事を書いています。流石に目蓋が重くなってきたので今日はこの辺で終わります。構成の凄さに圧倒されているのと、眠気で眼窩の奥の方に靄がかかっているので、多くを語れないのが残念ですが、興味が湧いたらぜひ読んでみてください。

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