映画「八犬伝」感想
八犬伝に行ってきました!
「南総里見八犬伝」はタイトルとあらすじくらいしか知らず、ちゃんと読んだことがなかったので、馬琴の半生と一緒に八犬伝のお話もみられるなーと楽しみにしていました!
曲亭馬琴の八犬伝の執筆を中心に、馬琴と葛飾北斎の交流と、「南総里見八犬伝」のお話が交互に展開していく作り。
この下ネタバレあるかもしれませんので、要注意でお願い致します!
現実パートの馬琴と北斎が、なんかもう、すごい良くてw
「ジジイ2人で昼間っから何してるんだか」
馬琴の奥さん、お百さんに渋い顔をされながら部屋に篭り、馬琴は北斎に八犬伝を語り聞かせて、今ここで挿絵を何枚か描いてくれと頼んで描いてもらうのですが。
北斎は描いた物を見せはしても残していかない。
挿絵担当は別にいるからなのですが、置いていけと頼む馬琴から取り上げて捨ててしまったりします。
このあたりのやりとりとか面白かったです!
ジジイ2人(笑)が楽しそうに空想の世界を語ってきゃっきゃしてるw
これなんか凄く「既視感」あるなあと思ったんですが…
これあれだ、同人屋もやってるわー…
まんまですわーすごいまんまですわー…
今度こんな話書こうと思ってるんだけど、この展開どうよ、ここであのキャラがこんなこと言ったら?そしたらあの人のリアクションがこうなるよね?それ最高!
みたいな…
好きな絵師さまに、自分の小説の挿絵描いてもらったら創作熱、爆アガリ!になるのもわかるわかるわかる…
うわあ、なんか、うわあああ(落ち着け)!!
既視感あるわけです…w
いや、同列に語って申し訳ないです!
でも、なんかすごく親近感…
良いなあ馬琴…(笑)
そして飄々としながら、創作に情熱を傾ける北斎も良いです!内野聖陽さん、さすが!
「こんな世の中だからこそ、正義が勝つ物語を書きたい」
馬琴は八犬伝を勧善懲悪の物語として綴っていきます。途中、「虚は虚でしかない」という鶴屋南北と言い合いのような展開があり、そこがすごく作家同士のやりとりで見応えありました!奈落の暗闇で、というロケーションも相まって、南北が得体の知れない感じなのも面白い。
晩年、馬琴が盲目になってしまうことは有名ですが、やはり代筆大変だったんだな、と…
口述筆記、あれは、ジリジリするなあ…
もどかしい!w
頭に浮かんだ速さで書かないと、浮かんでいる映像が逃げていって、集中が切れる感じになってしまう…(私は)ので、それを人に伝えて、その上、漢字を教えて書いてもらうのは、お互いにキツイ!w
最後には「馬琴の筆と見紛うほど」だったというお路さんの筆は、本人と馬琴の努力と忍耐の賜物なんだろうなあ。
八犬伝パートは、現実パートと対局のように、若い剣士たちが大立ち回り。派手なアクション、衣装に演出、で見応えあります。
なるほど、八犬伝てこういうお話だったんだー。
クライマックスに向けて、盛り上がっていく八犬伝パート、良かったのですが、後半は馬琴の後年の人生を描いている現実パートから目が離せなくなります。
息子、宗伯をめぐってのお百さんとのやりとりや、宗伯の病気のこと、自分の目のこと…
偉大な作家も1人の人間で1人の親、なんですよね。切なかった…
友人ではあるけど、どちらかというと「創作仲間」という、ある種、同志のような馬琴と北斎の関係も良くて。
お互いに互いの作り出すものをリスペクトしていて、だからといって馴れ合うこともない、良い塩梅の距離感がとても良かったです!
原作読みたい。
それにしても、この映画。予告編での煽り文句が「正義で何が悪い」
だったのですが、これと同時期に予告編流してた「十一人の賊軍」の煽りが
「くたばれ、『正義(あんなやつら)』。
毎回毎回、2本続けて流されてまして。
たまたまなんだろうと思いますが、なんだかセットみたいで気になっちゃいました。
どっちもわかるなあ…