タイムマシンに乗ってきたおばさん③
幼稚園の入園を抽選で勝ち取った。
といっても私が引いたクジは最後から2本目で、残りは2本とも当たりだった。
読み書きなどは教えず、まとまったお遊戯もせず、個人がやりたいことを時間の許す限りさせる人気の園だった。
私はパートを辞めて下の子を出産したばかりで、ひどい産後うつに悩まされていたが、この園は延長保育もなく、母親が関わる行事がとても多かった。
まず、送り迎え。
うつが辛く、また子どもが朝起きないため非常に苦労した。近所すぎてバスに乗る資格がないのに無理を言って登園バスに乗せてもらった。
バス酔いする子どもはとても嫌がったが、他に選択肢はなかった。
お弁当はあたりまえ、行事は全て母親たちが運営するのでほとんど、子どもを預けてから2階に上がり作業をした。
何をしていても辛く、楽しいと感じた日は1日もなかった。
はい、今日はここまで!
もう矛盾だらけ。まず、産後うつが辛いなら、ガッツリバス通園で、しっかり延長してくれて、長ーく預かってくれる園を選ぶべきでしょ。
自分でそういう園にせず苦しむのは、謎。
分かってたんだから。
1人目もうつが酷かったでしょ!
お迎えの後も、ママ友たちと公園に行ったり、家に呼んだりしてほんとに頑張ってたね。
それは認める。
一切手抜きをしてなかったのはすごいけど、たぶんかなり無理してること、子どもも感じてたんじゃないかな。
全く楽しくなかったよね、ママ友といても、子どもといても。
とってもいい園だったけど、実はみんなすごく教育熱心だった。
ほとんどの子が一流大学に入ったよ。
延長保育のない幼稚園に入るってことは、専業主婦だってこと。
のびのびを選ぶってことは教育熱心だってこと。
お金があって、教育に一所懸命なら一流大学に行くわなあ。
うちはこの後いろいろあって行ってないけど。お金持ちでもないし。
知らなかった。
のびのび園に入れる場合って、実はほんとうに
ただ、のびのびさせたい親はあんまりいないのよね。
私と違って、将来を見てたんだ、みんな。
でもね、
一流大学に行くことが幸せとは限らないよ。
負け惜しみじゃなく、本心で思うの。
将来を見据えてあれこれコントロールしようとしちゃうけど、いま振り返れば、もっともっと楽しんで面白がって、競争なんかしないで、
へえ!そうなんだ!
っていろんな人の意見を聞いて、子どもを愛して、それだけで良かったんだなと思う。
一緒に食べて、寝て、起きて、遊んで、機嫌よく。
それだけできれば最高だよ。
それができれば、な。
タイムマシンに乗ってきて、
いろいろ言うおばさん。
53歳のわたしから、31歳のわたしへ